2.現実的に甘くない 1/3

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さすがのオイゲンも、こればかりはなんとも言えなかった。「子供を拾った」とだけ単純に言われただけで、解決策など出せるものなのか。こうなれば施設に連れていくしかないのだろうが、両親を見つけられるなら見つけてあげるべきとも思う。冷静に虐待形跡がないか調べてから親元に返すことにはなるが、その辺りは専門外だから余計な発言は避けるとしよう。
ビッテンフェルト大佐27歳。運の悪かった彼は、雨の中夜道にランニングをしていたところ、何かにつまずいて転んだ。その何かが意識を失っていた女の子だったわけだ。人として放置することは気が引けたので拾ったのだが、どうしていいかわからず今に至る。

「とりあえず、今日会いにいっても?」
「好きにしろ。俺には扱い方がわからん。
まだ目を覚ましてはいないがな」

確かにビッテンフェルトでは女の子の扱い方などわからないだろう。名前ひとつ聞き出すのでさえ、だいぶ時間が掛かるに違いあるまい。
二人はお腹を空かせてしまっては可哀想だと、夕食を買ってからビッテンフェルトの宿舎に上がり込むことにした。
買ったのは肉ばかり。残ってもビッテンフェルトなら食べてくれるだろう、等とゴミ箱のように扱ったことは黙っておくことにした。知られたら何を言われるか面倒だ。

「肉が嫌いなやつはいないだろう」
「ベジタリアンじゃないことを祈るだけだな」
「ベジタリアンなど面白味がないではないか」

面白味の問題ではない気がする。
宿舎に着いて明かりがついていることわかる。起きたのだろうか。二人は扉を開けて中を確認した。
予想外なそこには展開が待ち受けていた。
なぜかビッテンフェルトの衣類が並べられており、それらを首をかしげながら眺めている女の子がいる。衣類は軍服、私服、パンツまで含まれている。
帰宅した二人に気付き、女の子は冷静にこちらを見てきた。そして、服とビッテンフェルトの顔を交互に見る。

「貴様、なぜ服で品評会をしている!!」

怒鳴られて怖がるどころか、顔色一つ変えない女の子。
どうしてこんなことになったのか。時間を少し巻き戻してみるとしよう。
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