13.恋に性別は? 1/3

bookmark
日記に書く内容が日に日に「ゲームネタ混じりの愚痴」になる中、カサンドラは頭を悩ませていた。
最近、ストーカーとまではいかないが、付きまとわれている。夜な夜な愛犬のために買い物に行くと、女性と出くわす。買い物にはビッテンフェルトが付き添っており、目的は明白であった。何を悩む必要があるのか。正直ビッテンフェルトが結婚して丸くなれば今後の提督らのためになりそうだが、カサンドラとしては馬の足に蹴られるようなことになったら困る。結婚は良いが相手次第では居場所を失うということだ。
例の女性は、自爆テロの際にビッテンフェルトに泣きついた美女であることにカサンドラはすぐに気づいた。正直、彼女は女性を眺めることは趣味に入る。恋愛対象とは別の域にあるが。どこの漫画に干渉されたのか、ここではたいした問題にはならない。問題はビッテンフェルトが興味、だ。

「ビッテンフェルト大佐は結婚に興味はないんですか」
「なんだ急に」
「いや、大佐の部屋には『え』の付く本がなかったので気になりました。心に決めた方がおられるのか、全くの無関心か。まさか、不感症!?失礼しました」
「他人の階級は覚えないくせに、そういう言葉は覚えるんだな!?言っておくが俺とて意中の奴ぐらいおるわ!!あいにくお前より素直なのでね、答えさせていただくが」
「素直じゃなくて考えなしの間違いでは?
そのまま玉砕なさるとよろしいかと。あなたを選ぶ方はボランティア精神豊富な方でなくては務まりませんよ。」
「貴様のような気遣いの欠落した奴など、同盟の腐った政治家がお似合いだ!!」

ビッテンフェルトが立ち上がったところで、忘れられていたオイゲンが咳払いをした。なぜ彼女はビッテンフェルトを煽るのだろうか。
カサンドラとしてはこのままビッテンフェルトがヤケになり、口走れば愉快だろうと暢気に眺めていた。
これでビッテンフェルトの意思を確認したカサンドラは、美女をどのように退けるべきか悩んだ。ロイエンタール辺りに押し付けてしまいたいが、無責任過ぎるようにも思える。同じ女として汚い手段は避けたい。また、カサンドラの性格上、女性の陰湿な行為が嫌いだった。陰口を叩くぐらいなら目の前で、大きな声で。この点、ビッテンフェルトと同じだった。
おかげで女子高では彼女に対する陰湿な悪口は少なかった。あったとすれば理菜と仲が悪いと勘違いされて流れたもの。それもそのはず。中学時代の喧嘩癖が誤って理菜に向いてしまったのだから。胸ぐらを掴まれた理菜は彼女に悪意がないと知っていたため許したものの、夏目の短気を知らない他クラスの生徒からすれば異様であった。「夏目は理菜をいじめてる」、という噂に理菜はご立腹であったが、夏目は反論しようがなかった。この際どんな反論も無意味だと理解していた。なぜなら、短気に慣れた同じクラスの人でさえ、そう思っていたのだから。
カサンドラとして生きる今なら原因がわかる。心を許した相手に対して口が悪くなる癖があるからだ。こればかりは治したいが治せそうにない。
また、カサンドラはこうして夜な夜な犬の餌を買いに行くのだ。次は一人で。
[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -