12.命の重さ 1/3

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大したことではないだろうが、わざわざ人を寄越す必要があるとは思わない。彼女は仕方がなくビッテンフェルトが待つ食堂に進むことにした。予想はついている。恐らく食事を共にしろと言いたいのだろう。
ただの軍人らのための食堂。位が上がれば美しいラウンジに行けるが、ビッテンフェルトに無理矢理連れていかれて以降、二度と行く気はない。したっぱ軍人の食堂の方が羽をのばせる。
カサンドラは視界に見知らぬ人が入ったことに不快になった。行く手を阻む見知らぬ軍人に殴りかかるわけにはいかない。

「カサンドラさん、ですね」
「ならどうする。」
「もしよろしければ一緒に食事をしないか」
「食事は本能という名の作業だ。他人と共にしてやる理由はない。それに私はビッテンフェルト大佐に呼ばれている。さあ、前を立っていないでそこをどけ」

萎縮した見知らぬ軍人を払いのけ、先に進んだ。当然今のは嘘だ。食事は娯楽と考えている。やり過ぎた嘘のように思えたが、綺麗に突き放さなければ無駄な望みを持つだけだ。そうは言うがこれは自意識過剰というやつかな。

「ビッテンフェルト大佐、お呼びだと聞きましたので」
「いやただの飯の誘いだ」
「ビッテンフェルト大佐!!」

グレーブナーが慌てた様子で現れた。異様な慌てようだ。何かあったのだろうか。

「よ、予告連続自爆テロです!!予告にある残りの二件を阻止せよと」
「そんなもん憲兵の仕事だろうが!!」

どこの元帥やら上級大将やらの嫌がらせか。被害が大きいであろうテロを防がないわけにはいかない。人材の貴重さはよく知っている。
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