23.セーフルーム 3/4

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ロイエンタールと違い、暗闇に目が慣れないカサンドラは恐怖を紛らわすために歩いていた。
今後は怖いもの、嫌いなものにゴキブリと暗闇を記入しよう。この世界に来た時もそうだったが、恐怖を紛らわすために行動をすることが癖であり本能らしい。
壁に手をつきながら、あまりの怖さに独り言を話している。それはだんだん悪化していった。「恋の三角海域SOS」を歌いだした。知っている人ならいかがなものかと思うだろうが、この世界に知っている人はいないだろう。そもそも音痴だったカサンドラだが、この際カラオケではないので気にしないことにしよう。
音痴な歌を歌いながら、カサンドラは足元にあるものを見つけた。

「うぎゃ!?」

頭蓋骨であることに気づいたカサンドラのSAN値も気になるが、頭蓋骨があること自体が気になる。
驚いたあまりに尻餅をついたカサンドラは、立ち上がろうにも腰が抜けていた。感情はこれでも女性。怯えたり、怖がったりするものだ。そして、途方に暮れていた。
漠然としすぎたため、何時間経ったのかわからないまま、時が過ぎる。お腹が空いたので夕食の時間は来ているだろう。心配されていなければ良いが。

「何をしている」
「ろ、ロイエンタール提督!?」

意外な人物に驚きながら、慌てて敬礼をした。
その時、義手から鋭い痛みが走る。義手と繋がっていた神経が外れた痛みだ。立ち上がろうとするが、義手がただのお荷物で、非常に面倒だ。

「全く、ビッテンフェルトが心配しているぞ。助けが来るまで、そこで座っていろ。」
「なんでセーフルームに頭蓋骨なんてあるのよ!!」
「・・・・・・まずは落ち着け」

ここはカサンドラのいう通り、緊急時に使うセーフルーム。通常はトイレ、非常食などの最低設備が整っているものだが、貴族の世代交代が影響し、セーフルームそのものの存在を忘れ去っていたようだ。
偶然仕掛け扉に手をついた二人は、何も知らないままセーフルームに迷い込み、出入り口から出られない状態に陥っていた。電気すら使えない暗闇で、二人きり。ただ、この二人に吊り橋効果を期待して良いだろうか。
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