22.食えるもの 2/2

bookmark
ミュラーは、この話を聞いて好奇心にかられた。冷麺にイチゴジャムという珍しい組み合わせに挑戦したらしい。彼の感想は「流す涙は多分赤い」とのこと。
レンテンベルグ要塞を制圧したロイエンタール、ミッターマイヤーの両上級大将は、提督たちの間抜けた話に色々と疲れきったようだ。
要塞に下り立った後も、友人のエラが料理を教えていたらしい。
しかし、レンテンベルグ要塞に来て話題になったのは、カサンドラの下手な料理ではなかった。確かに下手な料理も話題にはなった。千切りではなくすり潰したとか、片栗粉がなかったから小麦粉を入れたとか。ネタは尽きない。
前日にビッテンフェルトが呼び出した際のこと。見知らぬ道に興味を抱いたカサンドラは、ビッテンフェルトから呼び出されたことを放置し、その道に向かった。さすがに呼び出しを無視するわけにはいかない、と戻ろうとした時。

「ここはどこだ」

料理も下手だが、方向音痴であることを考慮に入れ忘れたようだ。
失敗を嫌う傾向があったため、とりあえず歩くことが出来ず、その場で立ち止まってしまった。

「おや、いかがなさいましたか」

偶然出会したメックリンガーは、小さい軍人にどのように話しかけようか、一瞬だけ頭を悩ませた。容姿による躊躇いなど、立場が上であるメックリンガーには不要だったが、紳士としての彼が悩ませたようだ。
メックリンガーを見たカサンドラは、敬礼をしながら、心で運がないと呟いた。実は黒色槍騎兵以外の男性に対する若干耐性が欠けていた。ビッテンフェルトといた際に話した、ミュラーやワーレンなら良いのだが。理由として、自分が女なので、男が未知な生命体に見えることがあるという。
あまり話したくはないが、我儘は言えない。

「ビッテンフェルト提督の元に参ろうと思ったのですが、道に迷ったようで」

こうしてメックリンガー提督に案内してもらった。
明日、あれだけ間抜けた(笑えた)迷子騒動になろうとは、思ってもいなかった。
[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -