21.ロリコンではない 2/2

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指揮文書発送機能を抑えたビッテンフェルトは、カサンドラが友人と三次元チェスをして待っている、と聞いて文句を言いながら迎えに行った。
この光景が、口うるさい父と反抗期の娘のホームドラマ、をみている気分になる。あまりにも面白いので、黒色槍騎兵の幕僚は飽きることなく眺めていられた。ホームドラマはともかく、恋愛的には宜しくない。
妻をなくしているワーレンは、忠告の一つを恋の先輩として言ってやりたかったが、一度別れたほうが良いように思えた。実際に危機に直面した方がビッテンフェルトの奴は学ぶだろう、と。ロイエンタールはカサンドラとビッテンフェルトは恋愛的には合うと思っていたが、ワーレンは合うが過程は別と見ている。あのままではカサンドラが振り回されるだけではないか。ワーレンは予言者ではないが、本人の意識を通り越して、それは正しかった。
話題にされていたカサンドラとビッテンフェルトに、黒色槍騎兵の幕僚はこんなことを言ったものだ。

「まさか、ビッテンフェルト提督はロリータ・コンプレックスじゃあるまいな」

当然違う。彼女が20歳であることを自覚している。むしろしていないのは、その周りではないか。
同時に関係が発展していないことも見抜かれており、幕僚たちが溜め息をついたものだ。我が上官は戦争を恋人にしているのではあるまい、これはさすがに口に出せなかった。言ったら最後、本当にそうだったと思わされてしまいそうで。
カサンドラはロリコンと言われると、「自分は少女ではない」と言ったらしい。彼女の中で少女というと「カードキャプターさくら」のイメージが強かったそうだ。
その本人は、友人相手に三次元チェスでボロ負けしていた。そもそもルールがいまいち理解できていない。麻雀が得意分野らしいが、ここのあるとは思えない上に、なぜ出来るのか。

「なんで敵の駒は使えないの?同盟の連中は亡命者を使えるんだから、ここでも駒が使えたって良いじゃない」

負けた言い訳を聞く限り、彼女には将棋の方がお似合いだろう。
友人のエラは、負けたから今度買い物に付き合ってもらう、と言いながら笑った。
ささいな約束は果たされることはない。それが戦争であり、この時代の表れでもある。
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