20.珍しい訪問者 4/4

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ピザの出前と入れ違いになるように帰宅したカサンドラは、ツマミとして色々なソーセージを買ってきたようだ。カサンドラ以外は、やはり量が多い気がした。
ピザの減りはマルゲリータが早かった。本当の事を言うと、カサンドラ自身注文書の上にあるものを読んだだけで、選んでいた訳ではないようだ。
食べながら話す三提督に対し、カサンドラは黙々と食べ続けている。ジーパンが入らなくなるという、女性らしいことは考えていないようだ。

「フロイライン・メルツァーは今年で何歳になられるのですか」

話が振られると思わずに驚いたカサンドラは、自分の指をかじったようだ。話を振った若い提督は反省した。

「ばかか、きさまは」
「自分の指は固くて不味いです」
「怪我はないか」
「すみません、急に話しかけて」

やたらと優しいミュラーとワーレンを見て、ビッテンフェルトは少なからず不快になった。

「卿らは勘違いしていないか。こいつは20歳の女だぞ。」
「・・・・・・!!」
「分からなくもないぞ、若作りを通り越して子供っぽい容姿だよな」
「卿はその辺にしておいた方がいいぞ」

ミュラーが口に出せなかったのに対し、ワーレンは早めに止めておいた。今まで冷笑ぐらいしか浮かべていなかったカサンドラが、横で目を大きく開いてビッテンフェルトを見つめていた。
童顔の自覚はしていたが、ビッテンフェルトの口からは聞きたくなかったようだ。

「いや、そうじゃなくてだな。俺は可愛いという意味で言ったんであって」
「ネイルハンマーがあったら殴ってた」

向かい側に座る二人は笑いを堪えることに必死だった。そしてショックを受けた本人自身も。カサンドラは本気でショックを受けていたが、慌てて弁解をするビッテンフェルトが可笑しくてならなかったようだ。
下を向きビッテンフェルトと目を合わせないようにするカサンドラは、笑いを堪えきれずに顔が引きつっている。それを見たミュラーがとうとう吹き出し、ビッテンフェルトが笑われていたことに気づいた。

「おっお前たち!!」
「すまんすまん、卿があまりにも動揺するのでつい」
「すみません、堪えられずに」
「久々に笑った」

ビッテンフェルトが次の言葉を探している間に、カサンドラがお返しに一撃を入れる。やはり遊ばれているらしい。

「あまりにも可愛らしかったので」

これでプライドがやられたビッテンフェルトが怒鳴り散らしたが、予想していただけあり苦笑いが出た。
耳を塞ぎながら椅子ごとミュラーの横に移動したカサンドラは二人に対し、「これがなければ良い人」と言った。そして二人は強く同意した。
ビッテンフェルトの罵声が終わり、その間に食べきった三人。意外に長かった罵声という説教に呆れつつ、カサンドラが二人を見送ることにした。
さて、ワーレンは苦笑いを浮かべた。女は男に変わることを求め、男は女に変わらないことを求める。
あの二人、一回は波乱あるかな。出来れば巻き込まれなければよいが。
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