2.現実的に甘くない 3/3

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冷蔵庫の中身を開けてみた。特に何もない。外食か食堂で食べるのか。ただ水すらないのはどうなんだろう。この水道水は飲めるのだろうか。日本の水道水はかなり綺麗だ。日本の水道水に慣れた日本が、外国の水道水を飲むとお腹を壊すらしい。飲むのは控えておこう。
食器類は一人分しかない。当然といえば当然だ。だが、若干埃を被っている。使用していないのか、それとも戦争で離れていたのか。どちらにしろ、洗わないと使えそうにない。
少し、暗くなり出したので電球のスイッチを探す。壁にあるタイプか、コントローラータイプか。後者なら探す手間が面倒だ。運がよかった。近場にスイッチがあり、つけてみる。少しだけ明るくなった。
次はベッドの下を覗いてみた。男の部屋で期待するものがあるかと思えば、埃があるだけだった。冷蔵庫にも入れていなかったということは興味がないのだろうか。

「つまんない人なの?
いや、そんなはず・・・・・・考えたくない」

オレンジの髪が頭をよぎったが、この際はオーベルシュタインの方がマシだと思う。あのような思考のタイプの方が考えを見抜きやすい。突進型は何をしでかすか分かりにくい。
一番人柄が分かりやすいのは、クローゼットの中ではないか。夏目は遠慮せずに中身を拝見することにした。今、帰宅してきませんように、と祈りながら服を出す。
軍服がアニメのOVA仕様なら見分けつく。階級もわかるのだが、緊張と動揺から思い出せない。中から男物のパンツも出てきたのだが、気にもせずに床に並べる。ブーメランパンツなどアニメでしか見たことがなかった。驚きつつも、感心した。凄い趣味だ、と。

「なんで並べたんだ。戻すの面倒じゃんか」

自分がしたことに呆れて、パンツを摘まみ取った時だった。
玄関の方から音がした。今更慌てても遅い上に、驚きすぎてパンツ片手に膠着してしまう。
やってきた二人の男性のうち、オレンジの髪をした男性とパンツを交互に見る。
予想通りというのが少し不愉快だが、イゼルローンとカレンダーに大きく書いていたことも、ベッドの下が期待はずれだったことも、このブーメランパンツも妙に納得させられるのだった。
そして今さらになり彼女は更なる危機感を覚えた。
帝国公用語はドイツに近い設定だったはず。大学生でドイツを選択以前に、まだ高校生。このままだと話が通じない。
トリップの定番はノリの軽い神が出てきて、主人公補正があるものじゃないのか。
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