17.猫がさらなる猫を 2/2

bookmark
一部始終を見ていたらしいお三方になんとも言えない空気が流れてしまわないか。
カサンドラは苦い顔をしてビッテンフェルトを見たが、先に口を開いたのはラインハルトだった。

「ドブネズミの分際で口だけは達者のようだな。しかし、卿もよくあの状態で頭が回ったな。良い誘導だった」
「ラインハルト様に関して何も言わずにその気にさせてしまうとは、お見事でした」
「とはおっしゃいますが、利用したことには変わりありません。どのような罰も受ける所存」
「ラインハルトを暗殺せよとか言ったら考えたがな。それに卿の上官はビッテンフェルトだ。」

話の分かる上官が良いと誰しもが思うことだが、帝国で話の分かる上官はラインハルトだろうか。ビッテンフェルトでないことは確かだ、と内心で見下してみた。
肝心なビッテンフェルトは、どうやらカサンドラを心配していたようで、あからさまにお怒りになっている。ラインハルトがいることが脆い理性を使いものにしているようだ。それを分かっていて委ねたラインハルトを、「お人が悪い」とキルヒアイスが心で言っていることだろう。
しかし、ビッテンフェルトは心配性にも度が過ぎるのではないか。子が出来たら過保護になるに違いない。
予想通り、ラインハルトが去ると説教になった。

「危ない真似をするな、わざわざ突っ込む奴があるか!!」
「お前が言うか。戦場でも突進するあなたに言われる筋合いがあるでしょうか。ないでしょうね」
「俺はお前の心配をしているんだ、そんなことも分からんのか。保護者であり、男の俺が心配することの何がおかしい!!」
「・・・・・・珍しく、反論の余地がありませんでした」

遊ばれていたビッテンフェルトは気づかなかったようで、珍しく論破できたことを喜んでいた。
カサンドラの方は戸惑っていた。「保護者であり、男の俺」の意味を尋ねようと思ったが、やめておいた。たぶん大した意味はないのだろう。
[戻る]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -