13.恋に性別は? 3/3

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遠くから見ていた後の双璧は、感心したようにうなずいた。予想以上の紳士的対応に見ていた側は面白かったようだ。しかし、見ていたことが気づかれていたのか、女性の顔はカサンドラの背中で全くみえなかった。自分の顔も隠せる良い立ち位置を選んでいた。女性としての気遣いのようだ。

「ロイエンタール、やはりこういうのはよくない。」
「なら堂々と見に行くか」
「そうじゃなくて」

恋は鑑賞してよいものではないと言いたい良心家のミッターマイヤーに対し、漁色家のロイエンタールは笑う。恋愛と無縁の位置にいるロイエンタールならではだろうが、ミッターマイヤーとしては妻がいる身。面白いわけがない。プロポーズを覗き見されたいと思うわけがない。
カサンドラはこちらを見るわけでもなく立ち去った。双璧に対して、興味感心がなかったようだ。この際はその方がミッターマイヤーとしては良かった。覗き見していたデリカシーのない野郎などと陰口を叩かれたいとは思わない。

「振ったのは正解だろう。付き合ったとして長くは持つまい」
「そうか?大人しい人が似合いそうなものだが」
「カサンドラは典型的な自分では愛さないタイプだからな。愛していても表に見せない女には、大人しいタイプは不釣り合いだ。」
「ロイエンタールの嫌いなタチだな。なるほど、押しの強い人を好むのか。
黒色槍騎兵艦隊あたりが性に合うのか」
「友人としては最悪だろうがな」

うるさすぎて、と付け加えなかった。
ロイエンタールは彼女の横顔を思い出しながら、疑問に突き当たった。
明らかにアジア系の顔。地球に詳しくはないが、その程度のことは知っていた。見た目と実年齢が沿わない理由は血にありそうだ。はっきり分かるアジア系の顔は珍しい。今では混血まみれで、血筋の詮索など無意味でしかない。
彼女が何者であれ、帝国領土内にいることが不思議でならなかった。
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