9.カサンドラの恋煩い 2/3

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義手をつけて復帰した彼女だが、義手の重さに今までのようには動けない。
実はこの義手は彼女のオーダーメイドである。義手に使用する材料を聞いたカサンドラは、もう少し軽くできるはずだと材料を一部指定してきた。本人は雪山にも行けると豪語したが、それは事実となった。不審に思いながら製作した技師たちは、寒さと軽さに特化した義手の出来上がりに驚いた。カサンドラとしては、化学を選択科目にしていたことを大いに喜んだ。
二日になると義手に慣れ始めたのか、成績はいつものように白兵戦は上位にきた。そんな彼女に、ビッテンフェルトは射撃訓練を勧めた。理由は日常で危ない目に遭った時、近寄らずにブラスターでのみ対処してもらいたいから。理由はともかく、訓練自体に価値を感じた彼女は、早速一人で的を狙う練習から始めた。

「所詮義手の小娘が好かれていられるのは何故だと思う?」
「そりゃ色気ってやつだろ?ビッテンフェルト大佐にやらずに俺らにやれよ。可愛がってやるぜ?」

下品な発言を無視した。また揉めたら次は誰かが止めに来るとは限らない。それに彼らには見る目がない。ビッテンフェルトがそんなことで動くタイプには見えないからだ。
この結論に自分から辿り着いておきながら、不愉快になる。別に女性の魅力に興味はないが、本当に優秀だから傍に置きたがっているようには見えない。やはり子ども扱いされているのだろう。嫌とは思わないが、心地よいとも思わない。では、どう見られたいのか。顔が赤くなり、カサンドラは無駄なことを考えずに集中することにした。

「止まってる的は当てて当然、並みに当たってるじゃないか」
「ビッテンフェルト大佐、突然話し掛けたら撃ちますよ」

ブラスターというエネルギーを放つものは、重力を考える必要がない。どっかのネズミの国にあるシューティングゲームみたいなものだ。コツさえ掴めば、止まってる的は撃ち抜ける。問題はカサンドラの集中力はすぐに切れることだ。
ビッテンフェルトは食事に誘ってきたのだが、周りの目が痛い。断るわけにもいないが。
気づいた大佐の方が対処にかかる。対処ですめばよいが。

「俺がカサンドラを誘って何が悪い!!
むしろ口以外に成績をあげろ」
「あー、それが悪化させる要因であると。
とりあえず飯か。ほらいきましょ。口だけのやつには都合がいいことしか聞こえませんよ」

対処などと言いながら、むしろ焚き付けた。内心ではどうやら殴り飛ばすなり、ブラスターで撃ち抜くなり、制裁を加えたかったようだ。
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