8.心配性な猪 3/3

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黒い影が太った男を蹴り飛ばした光景に、カサンドラは出来もしない下手な口笛を吹く。
男と睨み合うなんてするような人ではないビッテンフェルトは、躊躇いもなく顔面を殴って終了した。手こずった敵がいきなり雑魚になった、というような場面である。そう思いきや、立ち上がる野郎をみてカサンドラはやっと薬物に気づいた。

「お前が手こずるとはな」
「脳筋と同じにしないでください。それにバランスが取れないからで、万全ならもう始末してます」

アルテマは再び男の足に噛みついた。このとき、包丁を持っていた手に光が走る。
立ち上がったカサンドラは、光を放った主を見つけて右手で敬礼した。
ロイエンタールとミッターマイヤーである。ビッテンフェルトが脳震盪寸前までの殴りを入れたこと、アルテマが噛みついたことに気をとられたことでブラスターが決まったようだ。
両提督が男を押さえつけ、ビッテンフェルトは平手打ちをする。どうやら、女性相手だから平手打ちをしているようだが、実は平手打ちの方が痛い。

「貴様、また」
「あぁ!?今回の件もどーしようもないのになぜ怒られる!?」
「その怪我では嫁の貰い手があると思うか!?
確実に痕が残るぞ」
「え?いや、義手の時点で嫁の貰い手が怪しいんじゃないか?
それに普通、逃げなかったこととか帰宅が遅かったとかに怒るんですが。
それより、アルテマよくやった。コロマルって名前もアリだったな。」

この会話を親子間として見ていたミッターマイヤーと、男女間としてみていたロイエンタール。真実は本人たちでも未だにわからない領域に存在している。
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