1.私という小娘が 1/2

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大学の進学先も決まり、あと学校は来ればいいだけみたいなもの・・・・・・でもなかった。
三年生最後の一大イベント卒業式と謝恩会が待ち受けていた。
卒業式なんてサボってしまおうか、そう思いながら夏目は目を閉じた。そういう訳にもいかない。学校で成績はよくないが、生活態度や学校のボランティア活動に貢献してしまっている。中学時代にグレていたなんて、高校の教員は想像しないだろう。担任とは揉め、男子生徒とは喧嘩していたあの頃は、ちょっと思い出したくはない。
さっさと帰宅して家でゲームをしたい。最近はホラーゲームやステルスゲームにハマり、「待たせたな」がお決まりのあのシリーズを制覇した。当然ではあるが、こんな高校生活で彼氏が出来るわけがない。
いや、それよりまずここは女子高だ。
女子高といえば、ドロドロしたイメージばかりだが、彼女のクラスは平和過ぎた。他クラスのドロドロを呆れて観賞してしまう。そう他人事していられないのが女子特有の話。
謝恩会の生徒の出し物で揉めており、毎回放課後は不穏な空気が漂っている。
夏目は興味がなく、今日もさっさと帰宅してやろうとホームルーム後に教室を出た。廊下には三組の友人が待っていたようで、夏目の方を見て話しかけてくる。

「帰ろ。借りてたゲームも返したいし」
「それより銀英伝漫画貸したのにまだ?
軽いラノベばっか読んでるから、指輪物語とか十二国記とか読めないのよ」

友人の理菜はこの口の悪さにすでに慣れている。三年の付き合いで慣れないのは、夏目の機嫌が見分けられないぐらい。夏目のクラスはクラス変えのないので、きっとクラスメイトは慣れていることだろう。
このまま、帰ると思っていたら、どうやら隣のクラスが謝恩会の出し物で揉めているらしく、騒がしい。
夏目は、自分のクラスの謝恩会実行委員の声が聞こえないことから、状況を把握したようだ。気の強い他クラスに負けているらしい。夏目のクラス一組の企画に、二組が乱入してきたことは聞いている。だからといって、主導権を二組に渡すのは少しおかしな話ではないか。
舌打ちをしたあとに、夏目は肩まで伸びた髪をいじりながら黙り込んだ。そして結論を自分の中で出したらしく、ノックと遠慮なしに例の教室に侵入した。

「てめーら、うるさいな〜
あんたら二組は三組と出し物したくなくて、勝手に一組の企画に参加してきたんでしょ?
それなのになんで二組のあんたらが、一組の実行委員さしおいて仕切るわけ?
しかもさっきから文句と言い訳ばっかり。本来だったらあんたらに指揮する権利なんてないのよ!?文句あるなら自分らだけやればいいんじゃない?
ついでにあんたらがしたいのは"謝恩会"じゃなくて、今この場を支配したいだけの欲求不満解消。"謝恩"する気がないならやめれば?先生にちょー失礼なんですけど。
あと、一組実行委員!!あんたも意見ははっきり言え。だからこいつらから舐められるのがわからねぇか」

理菜は欠伸をして天井でも見ながら待つことにした。怒ったこの先からが長い。
言っていることは、良くも悪くも正論であり的中している。だが、相手の感情を考えていないので時々悪化させる事態を起こすことがある。確かに平地に乱を起こして楽しむところはあるが、友人やイベント事に仕掛けるタイプではない。きっと本人は悪気はないはず、と思いたい。
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