38.久々の笑い 2/3

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場に似合わず子持ちで待たされていたミッターマイヤーは、やって来た女性陣を笑顔で迎えた。やさしく出迎えたミッターマイヤーをビッテンフェルトが見習ってくれないだろうか、と思ったが出来てしまったら別人だと結論を出した。
エヴァは旦那に抱かれたフェリックスを見ていたが、視界に入った輝かしい目が気になった。カサンドラとマーティルダが押さえきれない好奇心でフェリックスを見ていたのだ。子供がいてもおかしくない歳になっている二人が、興味を向けるのも無理はない。エヴァとミッターマイヤーは目を合わせた。

「抱っこするか?重いぞ?」
「いや、私は興味ないし」
「わー!!抱っこしたーい」

このときは素直なマーティルダが羨ましかった。
抱かれたフェリックスを眺めた。正直な感想はじゃがいもみたいな顔、だった。生まれたばかりの子は可愛いとよく言う。そうでなければ、親が子を育てようと思わない。だから頭でっかちで可愛いと思いやすい体型で生まれるという。カサンドラの感想が一般とずれるのは、自身の子供ではないことが一番の理由だが、それ以外にも男性脳よりであることも理由だろう。しかし、「紅葉のような手」は可愛いと思えた。いずれロイエンタールみたくなるのだろうか。そう思うと残念な気がした。
マーティルダがカサンドラに訊く。

「抱っこする?」
「いや、親に抱かれた方が安心するわ、きっと」

うまいことを言って逃げてしまったが、ちょうどそこにビッテンフェルトやってきた。着飾った女性陣を見ても反応がないことは想定済みだ。しかし、全く反応がないことがカサンドラを苛立たせた。不愉快だったとはいえ、胸を盛るはめになったのだ。少しぐらいは反応がほしいものと思う乙女心をわかってほしい。それどころか、ビッテンフェルトの台詞は完全に不機嫌にさせた。

「あーケバいっていうのか、それ。」
「ちっ」

さすがに場が凍りついた。エヴァとミッターマイヤーは笑顔で睨み付け、マーティルダは細い目を向けた。

「帰っていい?どうせ軍人の嫁なんか飾りなんだから」

カサンドラの吐き捨てるような台詞に、ビッテンフェルトは怒鳴ろうとしたが、ミッターマイヤーと見ていたワーレンに挟まれた。女性二人にカサンドラをなだめてもらいつつ、小声でお説教をする。

「おい、いくらなんでも酷いんじゃないか。エヴァがあれはナチュラルメイクだと教えてくれたし、そんな派手ではないぞ。」
「だいたいな、場ってものがあるだろ。なぜ皇帝の結婚式でわざわざ言う。これ以上怒らせるなよ、迷惑だからな。」

皇帝の結婚式と言われて敗けを認めたビッテンフェルトは、カサンドラに謝ったが見向きもされなかった。こんなときの女性は容赦ない。ミッターマイヤーとワーレンはこれ以上巻き込まれないように距離を置くことにした。
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