35.埋まらない時間と関係 3/3

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ビッテンフェルトは副官の操縦する車に乗り、不機嫌な顔をして外を眺める。カサンドラがもしも友人と残ることを希望したなら、自分はどうするのか。そうさせるつもりはないと答えは出ていた。
副官に指示をしようとしたとき、車にカサンドラが乗り込んできた。しかも、友人を押し込んでいる。

「女の子一人この時間は危ないんで、ディルクセン副官、この住所まで。ビッテンフェルト提督、どうせこれで直帰でしょ?ならそれぐらいいいですよね」
「いきなり来るな!!今ブラスターに手をかけたぞ」

押し込まれた友人は苦笑いでビッテンフェルトに頭を下げた。カサンドラがわがままを言って連れてこられたのだろう。彼女はカサンドラに振り回され苦労してきたのだろうか。

友人を紙に書かれた住所付近で下ろした。自宅まで送られることをリナ自身が拒んだ。そこまで世話になりたくない、直訳ではそういう意味になる。カサンドラは渋ったが、リナの「嫌!!」が効いたのだろう。
見送ったカサンドラの横に立ったビッテンフェルトは、尋ねてみた。

「友人といなくて良かったのか」
「ええ。あのままだと『帝国の犬め』って罵声を浴びてたでしょう。リナは何て言われるかわからないし。」

カサンドラはビッテンフェルトの目を真っ直ぐ見た。

「皇帝はフェザーンを拠点にして活動すると思われます。引っ越しの準備が必要でしょう?」
「そ、そうか?」
「わかってませんね。結婚したんですから、私がそんなところを補いますよ」

それは結婚前からだろう。ビッテンフェルトはツッコミつつ車に戻った。無駄な心配は性にも合わないが、どうやら当たらないらしい。
リナと再び再会するのは、すべて"終わる"ときになる。
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