30.エヴァンゼリンの訪問 2/2

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ハイドリッヒ・ラング―原作ファンならお馴染みのネタキャラだ。ネタだからと甘く見ていられない。敵に回せば厄介者になる。現時点で非常に迷惑なキャラクターである。
解体された社会秩序維持局の名前を変えて、内国安全保障局などと言っているが中身はラングの組織に過ぎない。しかも、内国安全保障局の基盤の為にいいカモが欲しいに違いない。ローエングラム公が好むはずのない組織だ。相応の力を持たねばすぐに捨てられる。
オーベルシュタインが何の為に内国安全保障局を作ったのか。ローエングラム公の独裁を確立させるものだろう。はじめからラングは、オーベルシュタインの駒だったということになる。
では今回はオーベルシュタインの差し金だろうか。カサンドラは首をかしげたが、それはないだろうと答えを出した。軍人をやめたビッテンフェルトの妻に手を出して、オーベルシュタインにもローエングラム公にも利益になるまい。ビッテンフェルトの評価がそれで下がるとも思えない。戦術戦略共に使える駒なのだ。そうなると、ラングの独断という結論になる。オーベルシュタインの後ろ盾なしに三流がどう動くのか、面白みがある。

「任意での事情聴取をお願いしたいのですが」
「今、客人がいるの。数時間してから再訪問してくださる?どうせ令状のない呼び出しなんでしょ。それぐらい良いわよね」
「来客とは?」
「ミッターマイヤー夫人ですが?」

カサンドラはとりあえず追い返した。この時間で充分考えや対策の張り巡らせるだろう。
不穏な空気を感じとったエヴァンゼリンは、席から立ち上がりお暇しようとした。この二人は、自分の旦那の地位を利用しようとしないため、カサンドラもそれを快く許した。もし、他人の地位を借りるような二人ならここで話し合いでもしていただろう。
友人となったエヴァを見送ってから、カサンドラは溜め息をつく。可愛らしいエヴァともう少しお話したかったようだ。しかし、彼女は行動を開始した。ラングのような輩に負けてやる気など、これぽっちもないのだから。
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