29.銀河の向こうには 2/4

bookmark
ウェディングドレスというものは一着でかなりの重さを有する。今回は着る側の肉体的苦痛より精神的苦痛の方が強そうだが、ドレスを持ってくる側は肉体的苦痛の方が勝る。
どちらも気にせずに、カサンドラを着せ替え人形の如くドレスを選び出したマーティルダ。彼女が上機嫌になる一方で、カサンドラの機嫌は下がり続ける。これが着せ替え人形にする側ならば、カサンドラの機嫌はよかったはずだ。

「フリフリしたの、似合わないねー」
「着なきゃ駄目?」
「軍服というわけにはいかないと思うよ?」
「はぁ」
「そんなに嫌なら結婚しなきゃいいんだよ」
「しない、その選択が今更あると思う?」

マーティルダが笑みを浮かべる。のろけているつもりはないのだが、マーティルダにはそう見えたのだろう。
彼女の機嫌は無視して、肝心なドレス選びに勤しむ。飾る必要はないとしても、提督程の階級を持つ旦那の奥さんなのだから、ある程度のドレスが必要だ。

「誰かのドレス姿なら見たいのにな」
「ビッテンフェルト提督がドレス?」
「キモい」

一方で、ビッテンフェルト結婚と聞いたラインハルトは、真剣に悩んでいた。キルヒアイスのことではない。結婚した相手に贈る祝いの品だ。オーベルシュタインやヒルダに頼んでしまえば済む話だが、ラインハルトは不思議なことに自分で考え悩んでいた。姉のアンネローゼに結婚などの話題は出せない上に、あの件より溝が出来ている。ラインハルトは仕方がなく自ら答えを出さざるをえなかった。
[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -