第二話 ドラキー誘拐事件

「・・・・・・あぁ、あり得ない。いく先のわかんない旅とかあり得ない!!」

ユーリルが叫んだが、無視して歩く。聞いていたから、本当にうんざりしてしまいそうだ。
とりあえず真っ直ぐ歩き、いつか辿り着くことを信じるしかない。
元気よく歩くアリーナを、後ろから眺めるクリフトとテレサ。いつからテレサまでアリーナの召使いになったのか。
目指すダーマ神殿の場所がわからないため、先の見えないものほど怖い旅はない。
無表情に淡々と歩いていられるピサロに、内心で舌打ちをしたユーリルだったが、走ってきた女性を見つけたので忘れることにした。
村娘が慌てた様子で走ってきたのだから、驚かないわけがない。
トラブルの匂いに好奇心を躍らせるアリーナが、真っ先に話しかける。

「あなた、どうかしたの?」
「た、助けてください!!」
「落ち着いてください。どうかされましたか。」
「さえずりの塔に、オークたちが・・・・・・」

モンスターの名前に、全員が一気に戦闘体勢に入る。
まださえずりの塔にすら、いないのだが。

「ドラキーを連れていってしまい・・・・・・
私の髪飾りも」
「えー、と。すまないが話が読めない。」

テレサは首をかしげて尋ねた。
どうやら、事情を知らずに助けることは嫌がるタイプらしい。

「ドラキーが私の髪飾りを拾って届けに来てくれたのに、ドラキーごとオークたちが誘拐したんです!!
『さえずりの塔にいくぜ!!』って言いながら」

RPGお決まりの、罠の在処や宝の場所をいう実行犯。
いつもの展開に呆れつつも、見捨てる訳にはいかない。
さえずりの塔ならテレサも一度だけ訪れたことがある。高い塔だ、という印象しか受けなかった。
しかし、高い塔はクリフトにとって嬉しいものではない。

「助けにいきましょう、さえずりの塔に。
・・・・・・な、なるべく早く済ませましょう」

この時点から怖がるクリフトに、ベビタンは呆れたが、村娘の前だ。人形のふりをして笑わないようにするのに必死だ。
頼むぜ、人形のふりはキツい!!と思うベビタンであった。

前へ セーブ 次へ

×
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -