第2話 終わる世界で 3/4
「二人とも、おかえりなさい、遅かったから心配して・・・・・・
そ、その髪どうしたの!?フリオニール、君って人はまさか」
「イメチェンぐらいで騒がないでくれない?
そしてなぜ勝手に台所にいるんだ、あんたら二人は!!」

落ち込んでいるフリオニールを眺めるカインだが、それより目に入るのはセシルとカインの格好だろう。エプロンを装備している。どうやら勝手に台所を使っている上に、エプロンまで使用しているということらしい。
フリオニールとレイナの二人が出掛けてから、セシルとカインは二人がいないのを良いことに好き勝手に話していた。主に今後どんな関係になるか、という話。
しかし、二時間経過しても帰らないことはさすがに不安の対象になった。フリオニールは奥手だからその面では心配ない。すると、思い付くのは魔物の襲撃。二人は迎えにいくべきか悩んだのだが、この世界に詳しいレイナがいれば問題がないと信じることにした。だから、疲れて帰ってくるだろう二人にご飯を作ろうという結論に至ったらしい。
出会ってすぐの人の家で料理をする、という結論に至る二人に、驚きを隠せない。でも、レイナは出来上がった料理を見て許さなければならなかった。
冷蔵庫の中には世の中でいう残り物しかなかったはずだが、どこのレストランですか、と言いたくなる料理が並んでいる。

「僕が食べたいものになっちゃったけど、いいかな」
「セシル、作ってから聞く話ではない。
勝手に台所を使って悪かった。それなりに食べれるはずだ」
「私より料理が出来るのが悔しいな。
フリオニールはどうなんだ?」
「え。家庭料理ぐらいなら出来るけど、あれは無理だ」

席につき、料理に口をつけた瞬間、フリオニールが更に落ち込んだのは言うまでもない。
食事を終えた四人は、早速買い物と情報集めのためにガイアの町に向かった。
初めて来た時とは違い、人がちらほら出歩いている。ただ、冷たい視線は相変わらずだ。やはり余所者を嫌う傾向のある町のよう。
レイナは町の生まれなのだろうか。慣れた足取りでお目当ての店に向かう。つい、癖で武器屋と防具屋を探そうとしてしまう三人は、レイナを見失わないように気を付ける。お目当ての店は八百屋だった。セシル曰く、朝食で冷蔵庫のもの全て使ったらしい。
八百屋のおじさんは、レイナの後ろにいる三人を見え、ゴミを見るような目をしてきたので、さすがに驚いた。

「おっちゃん、そう警戒しないで。
私の旅をしている友人で、ここに立ち寄ってくれたんだ。」
「そうかよ、悪かったな。てっきり『ポピュライト』か『審判者』かと思ったぜ。
あんた、その髪は失恋でもしたか?
こん中のだれにだ〜?」
「あぁハイハイ。いいからそういうのはな。
買い物ついでに聞きたいんだが、こいつらが七賢者に興味があるそうなんだ」
「いなくなった今さらか。
最後の七賢者がこの町を去ってから数ヵ月以上。それから先の目撃情報もないから、この町で賢者の話はしない方がいい。
厄介なことに『ポピュライト』のリーダーがこの数日で変わったらしい。
で、何買うんだ?」

「ポピュライト」という単語に敏感に反応したレイナを見る。
買い物を終えたレイナは、なにも知らない三人に説明する。
ポヒュレーション(集団)とライト(光)を略した組織の名前で、この世界を危機から救うために動いている。『審判者』は光を信仰する例の戦争の引き金になった輩だ。別に組織の名前ではないが、彼らが自らを審判者と呼ぶことから、市民にはそのまま呼ばれている。どちらも少々過激思想な面があり、一般市民を巻き込むことが多々ある。そんな組織のリーダーが変わるということは、市民には不安でしかないのだ。
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