第14話 この世界の竜騎士 2/4
翌朝。
夜通し説教をされたバッツとラグナの目の下には酷い隈が出来ていたが、ウォーリアは変わらず輝かしい顔をしていた。
いち早く起きたティーダは、世話になったパン屋のもとに急いだ。スポーツマンとして挨拶は基本。それに少年との約束もある。
元気に駆け抜けていくティーダを宿から眺めていたセシル。横で武器の手入れをしていたカインに、目を向けずに話しかけた。

「カイン、また隠し事?」
「何のことだ」
「コスモスとカオスの戦いの時だって、相談なしに裏切り役を買って出たから。またかなって。」
「安心しろ、裏切る気はない」
「知ってる。今回は、ね。
でさ、カイン。鏡で自分の顔を見たら?」

実は言い出しにくかったのでシリアスな前置きを作っただけのセシル。必死に笑いを堪えていた。嫌な予感しかしないカインは、慌てて鏡を見た。
こんなときにタイミング悪く、ティナとレイナが挨拶をするつもりで来た。しかし、カインの顔を見て挨拶どころではない。

「あはは、朝からいいボケだなカイン」
「うふふ、こういうカインも良いわね」

猫髭を書かれたカインは、同じ部屋にいたジタンを叩き起こした。
尻尾を思い切り引っ張られたジタンは、泣き目になりながら起き上がり、カインの顔を見て痛みを忘れて笑い転げる。やられた側はまったく笑えない。
笑い声に釣られて、説教部屋で寝かされていたフリオニールやスコール、オニオンナイトがやって来る。説教をされていたバッツとラグナは今寝ているようだ。

「カイン、ジタンにイタズラされたのか」
「くだらないよね、そんなことして」

スコールまで笑いを堪えている。
完全に疑われているジタン。実は全く心当たりがないのである。
今になって起きたクラウドがカインを見て、冷静に頷いてきた。

「あはは、カインカイン。ジタンじゃないよ。
僕とクラウドでやったんだ。
クラウドがちょうどよく油性ペン持ってて」
「消し方には興味ないね」

レイナが皮膚についた油性ペンの落とし方を知っていたため、ラグナやバッツ、ティーダとウォーリアが見る前に落とすことに成功した。
カインに書かれた猫髭よりも、クラウドが関わっていたことの方が面白かったジタン。振り返ると疑われたことが不愉快になりそうなので単純に楽しむだけにした。
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