取り残されたフリオニールはトイレの個室に籠ろうかと考えたが、あまりにも悲しくなるので途方にくれた。
その頃、ジタンとバッツとラグナは通気孔から侵入を果たしていた。
「バッツ、しっぽ踏むな!!」
「いいだろー、しっぽぐらい」
「たく、君たちは少しおとなしくしたまえ。」
「ラグナがいうな」
狭い通気孔の中をジタンを先頭に移動する。三人で行動しているため、後ろに下がれないことが難点だ。しかも、バッツはすっぴんだと星が引っ掛かるようで、今は踊り子にジョブチェンジしている。
暗く前が見えにくい通気孔を必死に進む三人は、光を発見した。場所は分からないが、牢屋がある場所に辿り着いたら運がいいと思う。しかし、中を覗いてみると残念ながら男子トイレだった。
ジタンは女子トイレが良かったと思いながら、人の有無を確認してみる。中にはフリオニールがいた。
驚かせて中に入ろうと思ったのだが、どちらにしてもフリオニールなら驚いてくれる気がしたので、普通に男子トイレに侵入する。
「・・・・・・っ!?」
「フリオニール、驚きすぎだろ」
「男子トイレかー楽しくないな」
「うわ!?」
ラグナが通気孔からダイナミックに落ちた。そして足をつったようなので、三人はラグナは無視をして話を進めた。
現状を聞いた彼らは、何か思い付いたらしくジタンとバッツがニヤリと笑う。フリオニールにはこの三人が来ていることがかなり問題なのだ。ウォーリアが知ったらお説教かもしれない。
「混乱に乗じて逃げ出せばいいんだろ?
ならオレたちが華麗に混乱を起こせばいい」
「おいおい、ポピュライトが標的にされたら戦争並みの争いがあるかもしれないだろ!?
ラグナも年長者として何か言ってやってくれないか」
「で、その作戦ってなんだ?」
「よくぞ聞いてくれましたラグナ殿!!
人が混乱を起こさなければ犯人を決めつけようがない作戦だ!!」
フリオニールはとりあえずこの三人の作戦を聞いてやることにした。ラグナが止めてくれるなんて期待はしてはいけないと学んだので。
作戦の内容は、レイナとクラウドが合流して、ウォーリアたちが抜け出せるチャンスが巡ってきた時にやらないと成功しそうにない。最低限、混乱が我々の作戦であることには気づいてもらわないといけない。混乱を作ることばかりに重点を起きすぎな気にもなる。
しかし、悪い策ではなかった。
「こんなときのために持ってきて良かったな。セシルがくれたんだが、よく使い方が分からないんだ。」
「ラグナ?」
「ひそひそう。連絡する際に使えって」
ペラペラした葉っぱであるひそひそうを取り出そうとしたラグナは、尻のポケットに穴が空いていることに気づいた。どこかに落としてきたようだ。
せっかくの連絡手段を無くした四人だったが、バッツがものまねしにジョブチェンジしたことで解消された。そう、ラグナが最後に使用したのが運よくひそひそうだったのだ。