第11話 侵入せよ、アジトへ 4/4
ティナは嬉しそうに抱きついた。
それはティーダとオニオンナイトを不愉快にさせた。
数時間前のこと。金髪の野郎がモーグリのぬいぐるみを持って、この牢屋を訪れた。無実の彼らからしてみれば、来たことだけで腹が立つ。しかし、男はまったく気にせずに中に入ってきた。
武器は没収されているとはいえ、三人掛かりなら勝てる自信があった。しかし、自分たちが暴れることで世話になった町の人に迷惑をかけてしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
この心情を理解しているのか、男は怖がらずに彼らの前に立つ。

「武器は返せないが、ぬいぐるみぐらいくれてやるよ」
「怪しいものを受け取るわけないだろう?
ティナ、近寄ったらダメだ」
「でも・・・・・・ぬいぐるみは悪い人じゃないよ」
「いや、ぬいぐるみには悪いも何もないっスよ」
「まあいい。置いとくぜ」

拒否する我々を無視して、ぬいぐるみを床に落として去っていく。
こうして、モーグリのぬいぐるみに我慢できなくなったティナは、とうとう抱きついてふかふかしていた。ぬいぐるみ自体は危ないものではないだろうが、あの男は得体がしれない。
ティーダとオニオンナイトはあからさまに不愉快な顔をして眺めていた。
足音に気づき、三人は部屋の中の奥に固まった。拷問はされないが、しつこい聞き取りをされたら堪ったもんじゃない。足音の他には金属が擦れる音がする。
見たことがある顔がいきなり現れ、三人はその場で数センチほど飛び上がった。縄に縛られるあの人だ。
ティーダが名前を呼ぼうとして、オニオンナイトが慌てて口を塞いだ。敵兵が一緒にいる。同じ牢屋に入れようとしているのに、知り合いと知られては警戒されてしまう。
牢屋の扉が開き、放り込まれ、敵兵が去ったのを確認してからオニオンナイトは話し出した。

「り、リーダー!!どうしてここに?」
「よかった・・・・・・こわかったから」
「詳しい話は後にしよう。今は脱出が優先だ。」
「計画はあるんスか」
「計画は、ない」

真顔で返答をされた三人は、「ならなぜ来たんだ」と思いつつ、話を進めた。

「実はこのまま脱出するつもりでいたのだ。
しかし、仲間の一人が今、ここの幹部といる。我々が脱出すれば、彼女が人質にされかねない。
だから今、フリオニールは私をここに放り込んで離れたのだ」
「あれはフリオニールだったのね。
彼女ということは、ライトニングやユウナ、ティファもここに?」
「いや、この世界でフリオニールたちが世話になっている一般女性だ。」

オニオンナイトはしばらく首を傾げて考え込んだ。

「すでに侵入にバレていて、わざとその女性をつれていった?」
「私もそう思う。本格に人質にされては成す術がない。
それにあまり彼女を傷つけてはフリオニールが可哀想だからな。
彼女にフリオニールは特別な感情を抱いているようだ。」
「・・・・・・リーダー相変わらずストレートっスね」

むしろこちらが聞いていて恥ずかしくなる。
実はレイナが侵入組と決まってから、ウォーリアにフリオニールは反対していた。しかも長い長い講義のような内容で。最後には本人の意思を尊重する結論に至り、やっと収まった。その際に「心配してくれてありがとう」と微笑みかけられたフリオニールの顔は見物だったそうだ。
 TOP 
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -