第10話 名のないリーダー 2/3
世界を救ったら満たされると思った。
コスモスとカオスの神々の闘いの中で、記憶が埋まることなく一人にされた。闘いが終われば、皆が元の世界に帰り離ればなれになることは分かりきっていた。分かりきっていたつもりでいたのだろう。
一人になり、喪失感を埋めるために旅をした。そうすれば満足感が来ると思っていたからだ。戦って、人助けをして、強くなるが、逆に喪失感は増すばかり。これが悲しみから来るものであると理解するまで、時間がかからなかった。
あてのない旅をしている最中に、気づいたら見知らぬ世界にいた。そして気づいたら期待していた。ここに彼らもいるかもしれないと。同時に自分の仕事を探していた。あてのない旅より目的がある方が動きやすい。こうして世界の危機を知るうちに、ポピュライトのリーダーになっていた。
無意識に合言葉をかつての仲間に関係があるものにしていることに気づいた。気づくと自分自身に嫌悪感を抱くようになっていた。過去に執着し続ける自分が嫌で仕方がない。もう一度、あの時のように戦いたいと。戦いのあるあの日が良かったと。戦いを望む自分がいた。

「あなたは・・・・・・リーダーなのか」

フリオニールの顔を見た時、顔に熱い何かが込み上げた。失ったものを取り戻したように。本当に自分が想う仲間にリーダーと呼ばれて、嬉しさと懐かしさが来たのだろう。バッツに言われた時、名前をつけてもらわなかった。今にしてみれば、こんなことならつけてもらうべきだったか。

「リーダー、お、お知り合いですか!?」
「ウォーリアこそ何をしているんだ!?」
「ポピュライト・・・・・・まぶしいやつか」
「おっ、お堅い勇者さま登場か」
「あんたらの仲間?またか」

互いにどこから説明すればいいのかわからず、とりあえずセシルたちを迎えてから話すことにした。
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