第10話 名のないリーダー 1/3
起こされたレイナと足を吊ったラグナは、このスフィアの映像を見て「すばらしい技術だ」と口を揃えて言ったが、そこが問題ではない。
部屋に集まりこの映像を見たポピュライトの部下を含めたみんなは、ティーダたちが『審判者』に不当に捕まった事実は認識できた。撮影者である男の子は、ティーダをスフィアに収めようとして偶然撮影していたらしい。スフィアを初めて知って見たポピュライトの部下二人は、スフィアに驚き仕事を忘れかけていた。

「はっ・・・・・・!!
こ、この者たちに違いありません、不当に捕まった子どもたちは。
リーダーに報告せねば!!」
「待ってくれ。
ティーダたちは俺たちの仲間なんだ。
だから、俺たちを連れて行ってくれないか」

フリオニールは、ティーダたちを助け出すためなら敵のアジトに潜り込むつもりでいるが、出来れば情報が欲しい。この世界で相手の情報を持っていそうなのはポピュライトだろう。どんな組織でどんなリーダーは知らないが、何もしないより遥かに良い。レイナの方は反対しようと口を開きかけてやめた。結局、フリオニールと同じ結論に至ったのだ。
問題はこの部下二人が連れて行ってくれるか、である。

「ダメだダメだ!!リーダーにもしもことがあったら」
「何言ってるんだ?彼らは三人の知り合いで、被害者について詳しいことを知っているんだぞ?
連れて行く必要性はあると思う」

血の気が多そうな相方を冷静に説得して、部下二人はフリオニールたちを連れて行く結論に至った。
今、ポピュライトのリーダーがいる場所に一気に大勢で入るわけにはいかないとなり、二組で一時間ずらして行くことになった。
フリオニール、レイナ、ラグナ、スコールは部下の後に続くと、まさかのカジノに連れていかれた。当然ながら警戒した四人だったが、考えてみたら隠れるにはちょうどいいではないか。
VIPルームの入り口に着くと、スーツの男が丁重に入室を断ろうとしてきた。当然な対応だ。
ポピュライトの部下はここで合言葉を言う決まりらしい。

「合言葉はのばら」

これを聞いたフリオニールとスコール、ラグナは驚いた。のばらといえばフリオニール、というのは彼らの中では当たり前になっている。偶然か必然か。開けられた扉に緊張しながら、部屋に足を踏み入れた。
ホワイトボードに書かれた細かな文字、整頓された書類の山。
そんなものより目立ったのが、薄れることを知らない存在感。スコールにはまぶしくて仕様が無いものだ。特にあの特徴的なツノカブト。

「フリオニール・・・・・・なのか?」
「あなたは!!」
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