今から数分前。
ゲームセンターを通り過ぎた三人は、『審判者』のビル前に来ていた。機械を見慣れているスコールにはビルは楽しくもないのだが、ジタンとバッツはデカイ建物に興奮ぎみだ。登れるか登れないかを話し合い、実践してしまわないか不安になるスコール。ガラス越しに中が見えないか試してみたが、無理そうだ。
ジタンとバッツがさらにビルに近づこうとすると、ごっつい兵士が止めに来た。どうやらこの先は立ち入り禁止らしい。
「観光でもダメか?」
「ダメだ、立ち去れ」
「ケチだな〜見るだけじゃん」
ねちねちした交渉でも始めるのかと思われたが、聞こえてきた会話が気になり、そんなことどころではなかった。
男の子と兵士が揉めているようだ。三人はその様子を眺めていたのだが、男の子が持っている物が興味が向かった。見覚えがあるのだ。
「お兄ちゃんは助けてくれたんだ!!捕まるなんておかしいよ」
「子どもと話しているほど暇ではない。帰れ」
持ち物に興味が沸いたのは事実だが、この光景を見ていられないこともまた事実だった。
うなだれる男の子にジタンとバッツが話し掛ける。男の子の涙を溜める顔に動揺するが、彼はゆっくり話してくれた。
手にしているブリッツボールの理由も。
「お兄ちゃんたち、魔導アーマーからぼくを守ってくれて・・・・・・
そしたら、あいつらがはんぎゃくしゃだー
ボールの投げ方を教えてくれるって約束したんだ。」
「ティーダ、ここにいたのか」
スコールは男の子が持っているもう一つの物に目を向けた。
「少年、それを貸してくれないか?」
「え、うん。
これスフィアって言うんだって。」
スコールは、スフィアというものについて過去にティーダから説明されたことがある。確か水でできた物質ということだが、実物を見るのは当然初めてだ。
扱い方は分からないが、スコールはとりあえずテキトウに弄る。何かしら動かすには弄らなければ始まらない。
ジダンとバッツがそれを覗き込むと、何やら中に映し出した。驚いたのはその中身だ。
何か機械を壊しているティーダ。例の魔導アーマーとやらだろう。一般人に攻撃している魔導アーマーからティーダは守っているのか。ラストの魔導アーマーを破壊して、ティーダはこちらに向かってピースサインを送っている。
しかし、そこから一気に事態が急変した。ごっつい兵士が押し寄せてきて、いきなりティーダを取り押さえた。
「貴様ら、反逆者だな!!」
「ふざけんな!!壊さないとみんなを守れないだろ!!」
画面が荒れてから次はティナとオニオンナイトが映る。同じように取り押さえられている。
突然のこの光景に、三人は漠然としか理解できなかった。ティーダたちが危ない目に遭っていると。