第8話 ドラミルに到着 2/2
美味しいおにぎりもたくさんあると地獄の品で、量的にも味的にも疲れてくる。作った本人が責任を持ち、食べたり持ち歩いたりするわけだが、ジタンとラグナは20個で済んだ。
ムシュフシュおにぎりが評判というのはどういうことか。カインは、なんとなく塩おにぎりが欲しがった。
疲れがすぐに溜まるレイナは、進むたびに食欲が落ち始める。そんな彼女をフリオニールが心配して、ジタンとバッツはどれだけ食べれて頑張って歩くか、と判断のしようがない勝負を始めた。ラグナとスコールは休憩時にカードを始めて、カインとセシルは癖なのか武器の手入れをする。
ドラミルにつくまでの間のはずが、なんだか個性が見える旅になっていた。
ちなみに、スコールとラグナのカード勝負にはルールにランダムハンドが入ることがあるようで、基本スコールが勝つが、ときどきラグナが勝っている。

「疲れた、食べたくない」
「こら、疲れててもいいから何か食べないと。
こんなときはチョコレートがいいんだぞ。」
「ラグナ、次はトレードルールフルにしないか?」
「いや、負ける気しかしないんだけどな〜
親父狩りして楽しいかぁ?」
「「モグモグ」」

前半二人がどう見てもシスコン兄と、わがまま妹に聞こえてならないセシルは、武器を持ったまま吹き出した。危ないと言われたら、かなり危ない。実際にセシルは、指を斬ったことに気づいていない様子。
ある意味ではフリオニールもフラグクラッシャーだと思う。普通ならもう少し、いい雰囲気を出してもいいはずだ。
期待は裏切らずにどこまでも奥手なフリオニールである。

ドラミルに着いた時には、ジタンとバッツがおにぎりを食べきり、スコールによる親父狩りが完了していた。レイナは疲労から立ち寝という芸当を見せようとしている。
機械都市ドラミル。研究員や理系が集まったこともあり、科学技術がどの町や村より発展。いつしか国のように町の中心に大きな建物が立ち、指揮をするようになった。その指揮は現在、『審判者』の連中の手に委ねられている。元々は経済に強い人がトップにいたそうだが、今では格差が激しく、町は暗い。そこに『審判者』の独裁が始まり、さらに町には影が包まれている。
とりあえず疲れていることだし、まずは宿屋を探す。体力の有り余っているらしいジタンとバッツは、町を見て回ると言い出した。
さすがのレイナもこのときは目を覚ました。

「何を言ってるんだ。まずいやつらに捕まったら、助けになんて行かないぞ?
・・・・・・私が眠いから宿屋に行こう」
「大丈夫。オレの本職は盗賊だせ?
いざとなれば逃げられるさ。捕まらなきゃいいんだろ?」
「大丈夫。本職の盗賊をものまねすれば逃げ切れるさ。
だから、先に宿屋に行っててくれ」

眠気から説得する気力のないレイナは、溜め息をついてまた立ち寝しようとする。
仕方がなく、スコールがついていくことにした。ラグナは残念ながら腰が痛いそうなので、宿屋組である。よく考えたら最年長ではないか。そうは見えないが。
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