第8話 ドラミルに到着 1/2
向かう方向が決まり、ガイアの町からドラミルに行く。それは良いのだが、ちょっと距離が遠いため日持ちしそうな食べ物を買うことにした。どうせ一週間で食べ終わることは目に見えている。
買い物組のスコールとレイナとバッツはチーズやパンを買い、カバンに詰める。今回はカインの兜は犠牲にならずに済んだようだ。
自宅待機組は米をたき、ムシュフシュを炙り、夕食が出来上がっている。器用にフリオニールがおにぎりを作り始めた。それを見ていたラグナとジタンが一緒に作り始める。セシルとカインは、遠出の荷造りをしていた。旅に不馴れな彼女は、男性陣に荷造りを任せたのだが、よく考えればそれでいいのかと聞きたい。

「ここまで助けてもらって、その優しさに惚れた訳か。
わかるぞ、わかるぞフリオニールくん。」
「ラグナ、何の話をしているんだ」
「オレとレインもそうだったな〜
看病してくれた優しさに惚れたんだ」
「そうやってからかうのはよくないんじゃないか?
俺はともかく、レイナに失礼だぞ。俺みたいな奴に好かれて何がいいんだ」

そう言い出したフリオニールに、ジタンとラグナ、セシルとカインは顔を見合わせた。どこか論点が違う気がする。恐らくこんな考えに行き着くから奥手と言われるのだろう。顔も動作も嘘をつけないフリオニールは、下を向きながらおにぎりを生産していく。
ジタンは自分で作ったおにぎりを食べながら聞いてみる。

「いや、相手より先にフリオニールはどうなんだ?
レイナの気持ちより先にお前だろ?」
「だって、叶わないじゃないか」

次に言い出した台詞にまた顔を見合わせる。どうもレイナもそうだが、二人して不器用らしい。

「なんでだよ」
「元の世界に帰れるように祈ってくれてる彼女に、そんなこと言ったら失礼じゃないか。
そんなことで悩ませたくないし、会ったばかりだし」

こんなときにティーダがいたら、「フリオニールは堅いっスね」ぐらいで終わるんだろう。再びおにぎりを作り出したフリオニールに、何を言おうか悩んだ。おにぎり作りを止めてやるべきか、恋愛話をまだ続けるか。
買い物組がこのときに帰宅した。そして、フリオニールの作ったおにぎりを見て、レイナが真っ先に口を開いた。

「なんだ、そのおにぎりの山は。」

61個のおにぎりを手にしたフリオニールは、自分が作ったおにぎりを見て驚いた。米はあまり日持ちしない。中身は塩かムシュフシュ。さて、明日までに食べきれるのか。と、いうか何合の米を炊いたんだ。
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