第6話 食糧不足を脱出せよ 4/5
気づいた頃には釣り組にも、家待機組にも忘れ去られ、置き去りにされていたラグナは、意地でも川に着こうとしていた。森を一人で歩くのは危ない、と言われていたことなど彼が聞いている訳がない。マシンガン片手に、釣りに置いていかれた怒りを呟きながら、知らぬ間に迷子になっている。当然地図のないこの森で、迷子になっている事実に彼が気づくはずがない。ましてや、妖精さんが来ない今、後ろに魔物があることなど余計に気づくはずがない。

ジタンとバッツが次々に魚を捕まえては、バケツに入れていく。正直に言うと釣りよりも効率が良さそうだ。今回は二人に手柄を与えて、スコールとセシルは暢気に釣りをしていよう。そう思っていた。
はじめに異常に気づいたのはジタン。その次はスコール。森の中から数多くの足音が響く。それが魔物であることはすぐにわかった。四人はすぐに武器を構えて、魔物を迎え撃つつもりでいたのだが、現れた魔物に驚かされた。

「うわあぁぁ!!
足、つりそうだ!!」

何故かラグナが魔物の群れの先頭にいて、後ろにはムシュフシュの行列。魔物の群れを連れてきたのはラグナらしい。
ファイガのドロー数を数えているスコール。確か、ムシュフシュは中途半端にダメージを与えると暴走するはずだが。1体ずつ叩きのめす必要がありそうだ。とりあえず成功率の高くない盗みをするジタンは、盗めたのがハイポーションだったので悲しくなった。
ラグナはバケツに足を突っ込んで、川に向かって顔から転けた。そして、そのまま足をつった様子。その際に捕まえた魚をぶちまけたが、このときは誰も気がつかなかった。
ファイガやトルネドや連続剣が炸裂するが、ムシュフシュの水泡も同時に炸裂する。しかも異常状態は毒。セシルがエスナをかけた後に、バッツがものまねでエスナをかけているので、主力はジタンとスコールのみ。ラグナをちょっとだけ恨みつつ、スコールはイフリートを喚び出した。地獄の火炎と言えば、いいのか。
最後の一匹でやっとセシルがバケツがひっくり返り魚がいないことに気づく。

「ムシュフシュ黒焦げだね。
あれ、これって魚だっけ?」
「じゃねぇの?
でも食えるのかな?。食べたくはないけど。」
「・・・・・・よし、決めた。ねえねえ、スコール。食べてみてよ」

勝手にジタンとセシルの間で話が決まってしまった。口に出さないスコールのせいだ、と言われたらそれまでだが、味の保証がないものを食わせるか、普通。
とはいうが、このままだと全員が食事抜きであることも事実。ムシュフシュが旨いなら、持ち帰ってしまえばちょうどいい。不味かったら、また魚の取り直しだ。
スコールは勇気を出して、アビリティ食べるを実行した。

「・・・・・・悪くはない」
「よし、じゃあおれも。
うん、いいんじゃないか」

バッツがスコールに毒味をさせる形で、ものまねしてきたが、誰もツッコミを入れなかった。
こんがり美味しく焼けているのか分からないが、ムシュフシュを二匹いほど持って帰ることにした。ジタンとバッツ、スコールとセシルでそれぞれ一匹ずつ。ラグナは全身ずぶ濡れで帰還した。
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