第4話 幽霊とすっぴん 4/4
レイナがカインを呼びに行っている間に、フリオニールはどうにかして観覧車の扉を開ける方法を考えていた。カインがジャンプしても、バッツが出てこれないと意味がない。
バッツは全力で拳を扉に向けたが、びくともしない。それどころか、バッツ自身の手が痛いだけ。どうやら簡単には開かないようだ。
登るにしても、観覧車が古すぎて足場が悪い。錆にまみれた観覧車が動いたことの方が、むしろ驚きである。
あることを思い付いたフリオニールは、冷静に弓を構える。バッツに向けて。

「フリオニール、まさかバッツごと観覧車を壊す気か!?」
「いや、そうじゃなくて。
外側からなら、扉を壊せるんじゃないか?」
「扉を吹っ飛ばしたら、バッツも吹き飛ぶんじゃないか。
怖いこと考えるなよ」

そうは言うが、ジタンは止めるつもりはないらしい。
ストレートアローの構えを見たバッツは、慌てて扉から離れる。同時に何を考えているのか理解した。出来れば怖いからやめてもらいたいのだが、言っても声が届くことはない。諦めて怯えることにしたバッツに、ストレートアローは容赦なく飛んできた。
マップブレイクでもするかのように、的確に壊され、バッツのいる方へと矢がついたまま扉が飛んできた 。狭い観覧車内で回避したが、次は観覧車全体が大きく揺れる。バッツは無意識に涙を流した。

「嫌だ〜!!」

その光景を見たカインは、呆れながらジャンプした。
バッツのいる観覧車の中に入ると、震えている彼を無理無理抱き上げて、飛び降りた。
高所恐怖症じゃなくても絶対に怖いやり方に、あとからやって来たスコールたちは驚いた。フリオニールはそこまでする奴だったのかと。
観覧車からの脱出を果たしたバッツは、真っ青になりながら座り込んだ。どうやら彼のトラウマになりそうだ。
苦笑いしながら謝るフリオニールと呆れるカインを見ながら、レイナは切実にヤバい連中の手伝いをしているのではないかと思わされた。
気分の悪そうなバッツに、万能薬やらポーションやらかけてみるラグナ。たぶん、そういう問題ではないように思われる。

「バッツ、大丈夫か?」
「フリオニールを嫌いになりそう」
「ごめん、ああでもしないと扉が開きそうになかったから。
それよりも、ジタン、俺の財布どうしたんだ」

そう言われたジタンは、チラリとバッツを見た。少しばかり顔色が良くなった彼は、ジタンと一緒にあの招き猫の話を始める。彼らはあの招き猫に金を入れたいから盗み、フリオニールの金も入れたというのだ。
怒るフリオニールの横には、招き猫に好奇心を向けたラグナがニコニコしている。金の亡者である招き猫を見に行くことにした。
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