第4話 幽霊とすっぴん 3/4
ジェットコースターから降りたスコールは、ラグナを恨もうか恨まないか悩んでみる。結果、恨んでもラグナには意味がないことを思い出した。無駄なことをする気はないから止めておこう。
それよりも、気になることがあった。ラグナの横にはパラディンと竜騎士がいる。記憶にある顔だ。セシルとカインである。珍しいことにカインが兜をしていないが、多分あれはカインだ。金髪だとは知らなかったが。

「スコール、お疲れさま。災難だったね」
「なんでお前たちがここにいるんだ」
「知らん。その情報を共有するために来たんだ」

本当はセシルもカインも、ラグナまでいるとは思っていなかった。たぶん、ジタンとバッツがイタズラでジェットコースターを動かしたぐらいだと。
実のところ、探索を優先しようと思っていたのだが、スコールが可哀想だったのと、些細な情報でも共有しておきたかったのだ。この遊園地に限ったことに問わず、不審な人や他にも知人がいるか、など。

「いやー、オレ達、今さっきここが遊園地だと知ったんだ。
地下で迷子になったからなー」
「同じ場所を行ったり来たりしていたな。
ジタンとバッツも来ているから、ここのことならアイツらの方が詳しいだろう」
「遊園地ってここのことだよね?
僕の世界にはなかったからな。」
「待て、ジタンが来ている?
まさかとは思うが幽霊騒動の正体はあいつか?」

尻尾のある幽霊が、財布を盗む。盗みが得意なジタンには尻尾がある。
幽霊騒動を聞いたことがないスコールとラグナは、答えようがない。好奇心は向けても。
早速出会って情報共有といきたかったが、女性の声に遮られた。レイナがセシルとカインを呼び回っている。合流時期を確かに決めていなかったが、呼ぶということは何かあったに違いない。
セシルは手を振りながら叫ぶ。

「ここだよ!!どうしたんだい」
「フリオニールの仲間らしい奴が、観覧車に閉じ込められて出られないんだ。
カインはジャンプが得意なんだろ?」
「観覧車ってなんだ」

カインの質問に答えるより先に、レイナが手を引いて走り出す。閉じ込められたのか、スコールはあっさり予想がついた。罠にもあっさり嵌まったアイツなら、確かに観覧車にも閉じ込められそうだ。だが、彼は高所恐怖症じゃなかったのか。まさか、また罠に嵌まったのか。
スコールが心の中で何を言っているのか分からなかったが、セシルは思う。
口に出してくれないと分からないよ、スコール。
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