第4話 幽霊とすっぴん 2/4
フリオニールの金を盗んだジタンは、中身を見て悲しくなった。
1054ギル
真面目なフリオニールなら、貯金していそうなものだ。ジタンはフリオニールと一緒にいた女性を思い出す。女性に弱いから、もしかするとむしり取られているのではないか。合流した時にでも、慰めてやろう。
お化け屋敷を出たジタンは、バッツにフリオニールがいたことを教えようと辺りを見る。いるべきはずのバッツが見当たらない。
耳を澄ませながら辺りを見渡すと、バッツの騒ぎ声が聞こえてきた。
慌ててジタンはその方角に走り出す。しかし、この方角にあるものは……

「ジタン!!」
「バッツ、なんで観覧車に!?
お前、高所恐怖症じゃなかったのかよ」

バッツの声は遠すぎて聞こえない。観覧車の下を見渡すと、ゴブリンが群れている。どうやら観覧車を動かしたのは、コイツらのようだ。まずは下のゴブリンを一掃してから、バッツに呼びかけた。

「受け止めてやるから飛べ!!」

言ったのはいいが、さっきも聞こえなかったのだ。聞こえるわけもない。
必死に窓を叩いているバッツの様子から、どうやら扉が開かないらしい。
助け出すために観覧車を登るという手はあるが、登ってからバッツを連れて下りれるのか。答えは無理だ。
立ち止まっていても意味がない。誰かを探さなくては。
彼は、フリオニールのところに急いだ。

震える彼女と動けない彼。一度は冷静になったレイナだったが、人体模型を見た瞬間に気が狂ったように騒ぎ出した。むしろ、騒いだ彼女が一番怖い。
疲れたフリオニールは、お化け屋敷から出ることに決めた。動かない彼女を引っ張りながら、出口に向かって歩く。引き返す手もあるが、同じ仕掛けでも驚かされそうだ。だとするなら、前に進んでもあまり変わらない。
手を引いたつもりが、手がすり抜け座り込まれた。腰が抜けたらしい。

「こ、怖い」
「はぁ……ほら、抱っこしてやるから」

フリオニールの首に手を回し、背中に顔を埋め、本気で怯えているようだった。
暗いお化け屋敷を走り抜けよう。彼は、躊躇うことなく走り出した。恐がるのもいいが、自分まで立ち止まっては一生出ていけない気がする。
出口が見え、無事にお化け屋敷から抜け出すことに成功した。もし、お化け屋敷にクリスタルルームに繋がる入口があるなら、賢者も酷い人がいるに違いない。
お化け屋敷に出てレイナを下ろすと、涙を拭き取り何事もなかったかのように振る舞ってみせる。あまり、からかうことはしないであげよう。

「フリオニール!!」

予想しなかった人の声に、驚いて彼は振り返る。驚く彼に反して、レイナは悲鳴をあげ始めた。

「尻尾のある幽霊!!」
「いや、彼は仲間のジタンだ。安心していい。
……尻尾のある幽霊?まさか、財布を盗んだのはお前だな!?」
「後できっちり謝るから。
それよりも、バッツが大変なんだ!!」
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