第3話 尻尾のある幽霊騒動 3/4
念のため持てるだけの非常食を持ち、彼らはガーデンプレイスランドに向かった。レイナとフリオニールが乗り気ではない。それどころか、嫌だとさえ思っている様子。
果物くさい兜を被る気になれず、カインは兜の中に非常食を入れてみた。やはり使い道が違うではないか。
レイナの案内のもと、たどり着いたガーデンプレイスランド。ジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドがある。そんなものを知らない三人は、初めて見るものに好奇心を向ける。特にフリオニールはメリーゴーランドが気になるようだ。

「動かしあげたいが、多分電源が入らないだろうな。
むしろ、動いたら怖い」
「思いの外、広いね。僕とカインは二人であっちに行くよ。
レイナとフリオニールに反対を任せていいかな」

クリスタルルームの場所はレイナも知らない。ただ、この地にあるという話だけは聞いたことがある。
反対を任せてセシルとカインは、ジェットコースターの方に向かった。メンテナンスされてない以上、動かすわけにはいかない。二人に動かすだけの知識もない。レールと乗り物を見て、何となくどんなものであるか理解した二人は、何を思ったのかレールの上に乗った。全体を見渡すにはちょうどいいと思えたのだ。
カインの方をみたセシルは、意地悪い顔で笑ってきた。

「また一緒に旅ができるとは思わなかったよ、カイン」
「フッ・・・・・・俺もだ」
「次にあんなことしたら、許さないからね」
「・・・・・・・・・」

『あんなこと』か。カインは、むしろ驚いた。セシルだから許すと分かっていたのだが、改めて言われると怒っているように聞こえる。冗談か本気か、セシルの場合分かりづらい。
裏切ったりはしないさ。カインは、心の中でだけ呟いた。この世界に来たことに意味があるなら、自分が成すべきことはちゃんと果たす。
ある程度歩いたところで、二人は後ろから向かってくる音に気づいた。かなりのスピードで接近してくる。振り返ると、動かないはずのジェットコースターが走ってきていた。
引かれるかギリギリのところで、二人は慌ててレールから飛び降りた。誰も動かしていないはずの廃墟状態の遊園地。こんな目に遭うなんて、予想するだろうか。竜騎士のカインは綺麗に着地したが、元暗黒騎士セシルはちょっとよろけた。

「カイン、見えた?」
「あぁ」

飛び降りる間際に、ジェットコースターに乗っている人物がいた。予想していなかった人物に驚いたが、同時に幽霊騒動の真相も読むことが出来た。
振り回されて大変そうだな、とだけ思うことにして探索を開始する二人であった。
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