愛しい師匠 | ナノ


▼ 27.ラービットと雪だるま登場

グラスホッパーを利用してスピード勝負に出るか。いや無理だ。
トリオン体と生身では耐久度が違う。急ぎすぎたら、担いでいる母の負担になりかねない。
あくまで走るしかない。
近づくトリオン兵は射手用トリガーで先手を打つ。
効率的に、迅速に、冷静に対処すれば問題ないと思っていた。
目の前の倒れたバムスターから、ラービットが出てくるまでは。
ラービットが出てきて、如月は一度立ち止まった。
背後に回られたくはない。でも、相手にもしたくない。
両手が塞がっている状態では、バランスが悪いため隙を突かれたら危ない。
しかも、新型の動きを如月は知らない。
ここは運任せに逃げることにした。
ラービットが砲撃してきたタイミングで横から駆け抜ける。逃げ切れるなんて思っていない。

「三上、風間隊が新型倒してるだろ。
データをくれ」
『わかりました。頭と両腕の装甲は特に厚いので、気を付けてください』

確かに、イルガーみたいに重力を利用してなんて真似が出来そうにない。
太刀川や小南みたいな火力バカでもない限り、瞬殺は無理だろう。
如月は後ろを振り返る。
こちらに跳びかかるつもりらしい。スピード勝負なら勝てる気がしない。
一回グラスホッパーは短い距離だけ下がって背後に回りたいが、後ろに下がると母に酔われそうだ。
メテオラをぶつけてみようか。

「追尾弾」
「ちょっ、お前。
B級は出撃命令出てないぞ。
それに、待機命令前に出撃したやつらは東のとこに」

両攻撃追尾弾でラービットは動きを止めた。
二宮が止めてくれたのは有難いのだが、なぜいるのか理解できない。
迅の仕業だろうか。この際は素直に感謝することにした。
文句を言っても仕方がない。
犬飼まで連れてきた二宮に感謝する。
辻を連れてこなかったのは、女性が苦手だからか。

「お母様はおれが連れていきます。
如月さん、出撃命令出てるでしょ。
それにうちの隊長一人で新型はさすがにちょっと・・・・・・」
「すまない。この際は甘えておく。
後日なんかおごる。」
「じゃあ、1000円以上のぶどうで」

呆れつつも、犬飼に母を任せることにした。
二宮一人ではラービット相手に不安だ。
預けてすぐに弧月を抜いた。
prev / next

[ back ]



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -