愛しい師匠 | ナノ


▼ 25.VSイルガー

屋上に出た二人がすぐに目にしたのは爆撃型第二波だ。
すでに爆撃モードのイルガーが3体。
そのうち1体は本部の砲撃が集中砲火を浴びせている。
これはどうやら斬れということらしい。
太刀川はウキウキしながら弧月を抜いたが、如月は陽気にはなれない。
グラスホッパーを持つ太刀川ならあの位置にいるイルガーも容易に斬れるだろう。

「行かねーの?」
「・・・・・・」
「おれお先にいくぜ」

グラスホッパーを踏み、颯爽と宙に出た太刀川を眺めながら、忍田本部長から斬れと言われないことを祈った。
うまくいかないのが人生である。
忍田本部長から普通に命令が来た。

「如月、いるなら斬れ。」

如月の回答は清々しいぐらいに素早く、明るく一言。

「無理!!」
「いや君になら斬れる。」
「それで俺が乗ると思うんじゃねぇ!!太刀川との力の差を考えやがれ!!」

とはいうのだが、本部や宿舎で我が儘を通しているのだから無視するわけにもいかない。
こんなときに律儀な性格が嫌になるのだが、意外とそれで得しているのかもしれない。
弧月を抜いて、片手にグラスホッパーを準備する。
彼女が言うように力の差で斬るのは難しい。
ならば力に頼らずに一気に斬るしかない。チャンスは一度。
砲撃で1体と太刀川で1体、自分でもう1体斬れるのか。
グラスホッパーを使い宙に飛び出した。
一気にイルガーの真上に飛び上がる。ここからイルガーは若干小さく見えた。
もう一回グラスホッパーを出して、次はイルガーめがけて真っ逆さまに落下していく。
弧月を右手に構え、左手にはメテオラ。
落下することによって生じる力を利用して、運と力任せでイルガーを真っ二つにしてみせた。
メテオラは単に如月が出したかっただけ。

「クソ、無茶だ!!」
『見てた見てた。おー、斬ったか。
おれ新型狩りに行くけど、如月どうするよ。』

陽気な声に腹を立てたのか、ただ恥ずかしかっただけなのか。
如月は舌打ちで返した。
無線の間に割って入るように三上が話しかけてきた。

『菊地原くんに勇姿を送っておきますね』
「三上、なにいってんだ!?」

戦闘中の風間隊にはただの妨害活動にしかならないんじゃないのか。
そう思うのは自分だけだろうか。
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