愛しい師匠 | ナノ


▼ 25.VSイルガー

「残念だな〜風間隊は防衛任務前だからおれと二人っきり・・・・・・」
「くたばれ死ね太刀川」

相変わらずの嫌われようにすでに慣れた太刀川慶は、スルースキルを駆使し余裕な表情で話を続ける。
A級定食を眺めながら、余裕な太刀川とは反対に不愉快な如月は舌打ち混じりにわめきたてる。

「てめー、よく言うぜ。
俺の定食にお茶こぼしといてペチャクチャと・・・・・・
いつかその口を縫いあわせてやる」
「だから買い直しただろ、定食」

ツッコミを入れて餅を食べ始めた太刀川と、あくまでも怒りを静める努力をしない如月。
睨まれながら餅を食うのも悪くないかもしれないなどと思い始めた太刀川は、A級定食も美味しそうだなと考え出す。
喧嘩するほど仲がいいのテンプレートになっている二人を、遠めから忍田本部長が眺めていたのだが、誰がそれに気づいていただろうか。
A級定食を半分食べ終え、餅を伸ばしながら食べていた最中、緊急警報が鳴り出した。
話に聞いていた大規模侵攻だろう。
空が門(ゲート)まみれになり、真っ暗で気色が悪い。

「まじか〜餅半分残ってるんだけど」
「あぁ俺もだ。
諏訪、風間、東、鈴鳴第一辺りがでるんだろうな。
あとは非番のやつらか」
「おれらは今のところ待機か。屋上でも行って観戦するか?」
「ほぉー、いいだろう。外だから出やすいしな。」

のんきに二人は屋上に向かう。
如月は意地でも太刀川が嫌いと言いたいらしいが、こうなると本当に嫌いか疑わしくなる。
太刀川の方もこうなることがわかっているから、暴言に付き合えるのだろう。
まあ彼の場合ただ能天気に受け流している可能性もあるわけで、かっこよく考えても裏切られる可能性がある。
トリガーを起動させながら歩いて屋上に向かう。
無線からあれやらこれやら聞こえてくるが、あまり聞いて何かわかる内容ではない。
と、気を抜いていると新型の情報が入ってきた。

「イルガーといい、今回の新型といい、出し惜しみなしか。」
「おーいいね、新型か。
でも人型近界民来ないかな〜」

それでも動じずにまったりと屋上に向かう。
A級単体で危ないらしい新型ラービットだが、風間隊なら大丈夫だろうと菊地原の心配を密かにしてみるが、顔に出ていたらしい。
太刀川が顔を覗き込んでいた。
唾でもとばしてやろうか、と呟くとニヤッと笑われたので気にくわない。
腹を立てながらエレベーターに乗り込もうとした。
しかし、放送でその場に足を止めた。
『爆撃型の衝撃に備え、一般職員はシェルターへ』
爆撃型近界民イルガーが本部めがけて送り込まれたらしい。
その放送からまもなく、本部が激しく揺れた。

「わーお」
「如月、大丈夫か」
「・・・・・・太刀川、無理して壁ドンしようとすんな」

格好つけに壁ドンをしようとした太刀川だったが、位置が明らかにズレている上に顔がよくない。
一瞬変顔をした太刀川に見えた如月だったが、笑うのは堪えた。
太刀川が調子に乗りかねない要素は排除しておきたい。
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