愛しい師匠 | ナノ


▼ 23.近々起きること

トマトとピーマンの有効な克服方法はないのだろうか。
そう思い、はじめは子供の好き嫌いを克服する方法という記事を見ていたが、気づけばまったく違うものを見ていた。
「恋愛に成功するテクニック。ギャップ萌え」と。
我に返り、なぜ見ていたのか分からなくなる。
まあ強そうな人が可愛い一面を見せたらギャップ萌え成立だろう。
菊地原は如月を思い出した。あれはギャップ萌えか?

「ねぇ、歌川〜
風間さんはまだ?」
「風間さんなら新入隊員を見に行くとかで」
「え、先に言ってよ。行く」

菊地原は作戦室から迷いなしに出た。
あとを追う歌川は、そのわがままに付き合わされてみた。

「可憐、見に来ないのかな」
「確か会議の準備じゃないか?
宇佐美先輩といたから多分そう」

会議の準備。
確かに如月は機械いじりや考えたりすることは得意だ。
計算して答えが出るようなものが好きで、複雑に考える他人の心情はいつも深く考える。
慣れないからか、気を使いすぎるのか。
少し解りづらい面がある。
ぼーとしていたら、菊地原は誰かとぶつかりそうになった。
王子 一彰。変則攻撃手だ。

「あ、ごめん。」
「・・・・・・」

王子はそのまま思い出したかのように呟いた。

「いいな、如月さんの弟子で」

羨ましがられたのは初めてだ。
大抵は無理だろ、とか可哀想に、とか言われていた。
歌川が苦笑いで菊地原を見たが、本人はどうでもいいと言いたげだ。

「頭下げても無視されるし。
引き留めてごめん。またね」

そう言って去っていったが、菊地原は本当にどうでもよかった。
強いて言うなら「羨ましいだろ」ぐらいの気持ちはある。
はじめは確かに面倒な人だったが、言ってることに間違いはない人で、嘘をつかないから良い人だと思う。

「王子先輩、如月さんの弧月と追尾弾の戦い方を真似たって話。
だからずっと弟子入りを頼んでたらしい」

如月が断り続けた理由は結構雑な理由だ。
王子の話し方が苦手で、人をカトリーヌなどと呼ぶのが違和感だったそうだ。
まあ菊地原を弟子にした理由もかなり雑な理由なんだが。
prev / next

[ back ]



×
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -