愛しい師匠 | ナノ


▼ 23.近々起きること

「きくっちーが浮気するとか考えてもいいでしょ?」

宇佐美にそう言われたが、いまいちピンと来ない。
かれこれ一年が過ぎた訳だが、これといったカップルのイベントがあったわけではない。
ボーダーで忙しいのだから仕方がない。
しかも如月は個人のため、討伐の出来で給料が決まる。任務は減らせないのだ。
二人で会議のためのデータ整理をしながら、話を進める。
最近の話題は菊地原が首ちょんぱされたことだが、宇佐美は知らない。

「はぁ、ちょっと疲れたな。
モニターばっか見てて目がやられないか?」
「ふふーん、眼鏡は万能なのだよ」
「逆に視力落ちんだよ。眼鏡に頼りすぎて」

確かに視力低下はある程度事実だが、さすがに眼鏡はいるかもしれないと感じた。
人と会話していても顔が霞んで見えたら意味がない。
金に余裕が出た頃に眼鏡を見に行こうと心に決めた。
宇佐美には見せる気はない。眼鏡好きの宇佐美の反応は予想がつく。

「きくっちーとはどうです?
もうキスはしましたよね」
「は?
そういうのは高校出てからだな。」

宇佐美は持っていたタブレットを落としそうになる。
乱暴に見えて、実は真面目な人と知っていたがここまで来ると堅い人だ。
キスぐらいは高校出なくても良いように感じるが、本人としては菊地原を大切にしているだけ。
別に子供扱いではないと思いたい。

「進展ないと別れちゃいますよ。
恋は刺激を必要とするんですよ!!」
「はぁ・・・・・・で?
付き合って一年でキスはあり得ないだろ。早くないか。
結婚とか意識する間柄でする、あっ。
べ、別に菊地原とそんな遊びって訳じゃなくて、ちゃんと話し合いしてからがいいと」

自分で話して慌てふためく如月を見た宇佐美は、菊地原が愛されていることにちょっと感動した。
弟扱いされていたら可哀想と感じていたところだ。
一人で感動していた宇佐美の横では、一人で暴走する如月がいた。
耳まで真っ赤にしながら目をうろうろさせている。

「菊地原と結婚ってなにを言っているんだ、俺は!!
だってあいつはまだ高校出てないし、18になってないし」
「あはは、とりあえず落ち着こうか」

可愛いなと眺めているのだったが、実は菊地原と如月が付き合っていることを知らない男がいる。
その男について宇佐美 栞は想像できただろうか。
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