愛しい師匠 | ナノ


▼ 22.暗躍&セクハラエリート

何回目かのため息をついた。
その背中を眺めていたのだが、ちょっと手を出すことにした。
手を伸ばして、そろ〜と触ろうとした。
しかし、後ろから鋭い拳が飛んできて、サングラスが危うく壊されるかと思った。

「迅さん、何やってるんですか!?」
「熊谷ちゃん、ナイスパンチだね」

このセクハラエリートに狙われていた人物はやっと気づいたらしい。
振り返り、迅を驚いた顔で見ている。
ちょっと触ろうとしただけなんだがな〜、と言いそうな迅をさらに冷たい目であしらう。
熊谷は笑いながら如月に近寄った。

「菊地原くんに構ってもらえないから寂しいのはわかりますけど、気を付けないと野獣には。」
「はぁ!?」

意味がわからないまま、熊谷が離れていくので如月は頭を掻いた。
野獣と言われて心当たりがない。
すでに菊地原が面倒くさい野獣みたいなもの過ぎて。
迅は爽やかに話しかけてきたので、適当に流そうか、と考えたがマジな話のようだ。

「風間隊は遠征中だしな〜
寂しいのはわかるけど、今はいないから仕方ないよ。」
「で、なんだ。」
「イレギュラー門の件聞いた?」

今、A級クラスのやつらなら聞いたことぐらいはあるイレギュラー門。
誘導されるはずの門が、市街地に突然門が開いたという話。
運よく全てのイレギュラー門が非番の隊員の近くで発生した。
その非番の隊員に彼女も含まれる。

「トリオンであの場に直接繋げれば理論上可能な話だろ?
直接繋ぐものを叩かないと意味がない」
「それはどうにかなる。
イレギュラー門を始末したあとのドタゴタに付き合ってほしいんだ。
早めに言わないと予定入れるだろ?」
「趣味が暗躍って厨二だぞ、迅。」
「ひどいことをさらっと言うね・・・・・・」
「で、何に協力しろと」
「夜におれとデート」

満面の笑みの迅に対し、相手も満面の笑みで返した。
威嚇用に出てきたスコーピオンが笑みと似合わない。
言葉を間違えれば首を飛ばすだけでは済みそうにない。

「風間隊を遊び相手にできるんだよな〜」
「・・・・・・お前、変わった上に意地悪化したな」

真剣に言われた迅は心なしか悲しい気がした。
意地悪になったと言われたからか、理由を聞いてもらえなかったからか。
分かりづらいが、迅はとりあえず悲しくなった。
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