愛しい師匠 | ナノ


▼ 18.諏訪に酒を持たすな

電話が来た時、嫌な予感がしていたのは事実だ。
諏訪からの電話と言うだけで嫌な予感しかしない。自分に電話するような人ではないのだ。
やたらと甲高い女の声がする。しかもガッツリ知っている人の声。
怒りより呆れていた。諏訪らしい。
作戦室で読書をしていた歌川がこちらを見る。一人では寂しいから連れていくことにした。
面倒くさいからついてきてって。

「きくっちー来るの遅い〜
私待ちくたびれた〜東が日本酒とった〜」

全力で日本酒を遠ざける東に抱きついて奪おうとする如月。その横では風間が空の瓶に向かって説教している。
最強酔っぱらいが二人いる。すごい光景が広がっている。
菊地原はすぐに諏訪を見た。睨みつけるというより、呆れてバカを見る目で。
如月、風間を酔わせた張本人は苦笑いで歌川の方に助け船を出す。絶対助け船は出しません、と歌川は笑みで答える。
とりあえず東に抱きつく如月を離させる菊地原。

「あぁ日本酒・・・・・・
焼酎辛口〜は私のもの〜
シローの意地悪。私の〜」
「うん、意地悪だよ。
歌川、風間さんをお願い・・・・・・風間さん?」
「お前細いな〜それで連携できる攻撃手になれると思ってるのか!!
太刀川に負けるような攻撃手なんかいらない!!」
「風間さん、それは瓶です。
それに攻撃手で太刀川さんを目標って・・・・・・」
「諏訪さん、明日対戦をお願いします。
ぼく、弱いですけど太刀川さんに比べたら」

歌川は風間に肩を貸すはめになった。絶対に諏訪をこらしめると心に決めた。
菊地原はもう面倒になり如月を抱っこする。わがままを言っていたが、菊地原に抱きつきながら寝てしまった。
猫みたいな寝顔を見せびらかされるのが不愉快な彼は、さっさと居酒屋を離れていった。
置いていかれた歌川は、結局いく先は違うし、と割りきった。
首にスリスリする如月が可愛い、と菊地原は自分もスリスリを返してみる。さらに猫らしい顔になる。
少し肌寒い中、酔った如月の体温は暖かい。寒くなくならせてくれる。

「シロー、デートしよ」
「可憐?」
「むー、馬刺うまし」
「・・・・・・う、うん」

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