愛しい師匠 | ナノ


▼ 18.諏訪に酒を持たすな

菊地原に電話があったのは、今から二時間前。
諏訪と東、風間、如月は居酒屋に向かった。
馬刺と刺身さえ食べれればいい如月だったが、不味い場所は却下されていくので男性陣は居酒屋探しに困る。
如月が許すような居酒屋を見つけ、中に入る。女は当然珍しい客だったためか待遇がいい。
本当に日本酒が飲みたかった如月は普通に頼んでしまう。風間の方はあまり乗り気ではなかったのだが

「まさか飲めねぇのか?」

という諏訪の単純な煽りに乗せられていた。東はまさか如月が日本酒一人で飲むわけではないだろう、とあえてアルコールは頼まなかった。
さすがに女性を酔わす趣味はない。
馬刺やら刺身やら焼き鳥やらで騒がしくなる中、諏訪が言う。

「如月さ、日本酒以外になんか飲めんの?」
「梅酒?甘くない方がいいな。
てか飲まないぞ?ちょっと熱い」
「ふーん、焼酎飲めよ。これうめーから」
「え、あっ、ちょっと・・・・・・」

諏訪は止める如月を押し退けてグラスに入れてしまった。嫌な予感にかられて、東は風間に目を向けた。
完全に酔っている。これは今日の記憶が飛ぶレベルだ。さすがに危ない。
焼酎のグラスを奪おうと手を伸ばす。如月と手がぶつかり払い退けられた。飲ませてはいけない。

「ちょっと、待て!!」
「焼酎か。アルコール高いのかな」
「ちーと飲んでみろよ」

これが完全に悪かった。
気づけばハイテンションの如月が出来上がっていた。飲ませた張本人が一番面倒くさそうな顔をしている。
ハイテンションの如月に天然をかます風間。カオスな二人がカオスなまでに酔っていた。
反省に反省を重ねる諏訪。そんなつもりあったんだけどさ。
ハイテンション如月は菊地原の話を始める。

「もー、シローったらデート誘ってくれないし。
可憐泣いちゃうぞ〜?風間みたいに尊敬されたい〜
歌川くんみたいにシローとベタベタするの!!
風間のバーカー間抜け!!」
「お前ずいぶん背が低いな。
俺より小さいのは致命的だ」

風間はビールジョッキに向かって話しかけていた。驚きながら諏訪はビールジョッキを風間から離した。
自分がやった面倒事に運の悪さを感じ反省しながら、動画におさめようとした。
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