愛しい師匠 | ナノ


▼ 16.菊地原の策略

寒い。
言われてみれば12月だ。寒くて当たり前だ。
菊地原は雲行きの怪しい空を見た。
聞こえてくる足音にため息をつく。

「菊地原!!お前ってやつは。
コート持たずに外に出るな!!体調崩すぞ」
「第一声それ?」

素直に尋ねたが聞いていない。
コートを投げて寄越し、自分がしていたマフラーまで寄越した。
次に鞄から耳当てを取り出す。そしてつけさせる。
暖かい格好になった菊地原は、不愉快そうに如月を見た。

「防寒対策は問題ないな。」
「・・・・・・予想外にもほどがあるよ」
「いや、お前がな?
で、話の続きをしようか。」

如月はベンチに腰かけた。
今から対決でもするような構えで菊地原を見る。
ポーカーや麻雀をやるときの顔はこんな顔なのだろうか。
菊地原は横に座った。

「さっきの台詞、あんな形になったけど、
嘘じゃないから」
「菊地原はくだらない嘘はつかないからな。
前に言ったこと、覚えてるか?」
「憧れと恋の境界線?
手に届きにくいと憧れを恋と錯覚するかもね。」
「てっきり風間だとばかり思ったんだが」
「は?」

菊地原はどういう意味か、尋ねる勇気はなかった。
風間蒼也は尊敬に値する。
しかし、如月が言っている意味はちょっと理解できない。
スルーしないと話が進みそうになかった。

「俺に対する感情・・・・・・母親に向けるものに似てないか?」
「あくまで憧れにしたいの?」
「いや、そうじゃなくて」
「あり得ないから。
別にマザコンじゃないし。」
「いや、そうじゃなくて」
「で、付き合うの?付き合わないの?
5秒以内で答えて。」
「は!?」

菊地原は容赦なく数え始めた。
状況理解をしていない如月の動揺っぷりなど無視する。
カウントで判断力が欠け始める如月。
そして口にしたのは・・・・・・
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