愛しい師匠 | ナノ


▼ 15.遠征への価値観

「よ、元気にしてるか如月」

いきなり話しかけられたせいか、睨み付けた如月。
いたのは林藤支部長だった。
あまり話はしない。というのも如月が林藤支部長が好きではないからだ。
何か片手に持っている林藤支部長。

「なんだ・・・・・・なんですか、林藤支部長」
「いや、最近成人したんだろ?
なら酒をあげようかなって」
「はぁ」
「ほれ、スパークリング。蒼也とでも飲めよ」

要らんものをもらった如月は、箱を眺めた。
フランスの中央で作られた酒のようだ。
果実酒。林藤支部長の趣味だろうか。5000円はするだろうから、ありがたく受けとるとしよう。
早速、風間隊作戦室まで酒を誘いに行こうと歩き始めた。
風間が酒を飲んでくれるかわからないが、他に飲む相手と言われたら東ぐらいしか候補にあがらない。
そこに、次は菊地原が来た。
なんだか人によく会う日だ。
菊地原はあまり顔色が良くない。体調不良だろうか。
髪を結んだままにしていることにすら気づいていない。

「き、菊地原!?
お前顔色悪いぞ。最近なんだか無駄にはりきってたからな!?
やっぱり体調崩したか。救護室まで運ぶぜ?」
「ねぇ、遠征行くの嫌なの?」
「やっぱり作戦室の方がいいか。
ってえ?お前、鳩原との会話聞いてたのか」
「・・・・・・」
「まあ、あまり嬉しくないな。
お前みたいなのはすぐやられるだけだ。
それより菊地原、体調崩してるんだから無茶すんな」
「・・・・・・いつになればぼくを子供扱いしなくなるの。
一人の男としてみるには歳の差は不利?」
「お前本当に大丈夫?」
「好きだって言いたいのになんでわかってくれないの!?」

意味がわからなかったのは如月だけではなかった。
菊地原もしばらく停止してから背中を向けた。自分の失態に気づいたらしい。
顔色はさらに悪くなる。
そして菊地原は走り出した。
驚いた如月は言われた台詞より菊地原が心配でならなかった。
あんな顔色で倒れたら大事になる。

「あぁ・・・・・・やっぱり」
「歌川?」

後ろに歌川がいた。どうやらカメレオンを起動していたらしい。
菊地原が気づかないとは、やはりおかしい。
心配そうな顔をする歌川が説明を始める。

「最近ずっとこうだったんです。
機嫌悪くて、顔色悪いし。
悩んでたことが爆発した感じですね、今の。
菊地原、如月さんに弟みたいな扱いを受けることが嫌みたいで」
「知ってたのか?」
「まあ一応。年齢差かなり気にしてたみたいで、言いたなかったらしいですけど。
かなり真剣だったのか
「・・・・・・歌川、悪いが風間にこれ渡してくれ。
後で飲もうって。菊地原の首根っこ掴んでくる」

酒を未成年者に押し付けた成人は、ボーダー本部をトリオン体で駆け抜け、街を生身で駆け抜けたとか。
通りすがりの冬島が、鬼の形相をした如月にびっくりしてコピー用紙をばら蒔いたとか。
prev / next

[ back ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -