愛しい師匠 | ナノ


▼ 09.中学生の体育大会

菊地原はお弁当に入っているプチトマトと格闘していた。
そんなことより歌川は、お弁当の中身に注目した。美味しそうだ。
明らかに手作りだろう。夕食の残りを入れただけだろうが、美味しそうだ。
そこまで旨そうに入れられると、菊地原から奪いたくなる。
グラタンを食べてみたい歌川は、菊地原に交渉してみる。

「グラタンくれないか?
卵焼きあげるから」
「別に要らない。だからトマト食べない?」
「・・・・・・食えよそれぐらい」

と、言いながら交渉成立。
歌川は仕方がなくプチトマトを食べた。
旨い、というより普通だ。
お約束通りグラタンを食べる。
やっぱり手作りだ。冷凍食品の味ではない。菊地原が羨ましい限りだ。
気にもせず食べている菊地原。次はピーマンと戦い出した。

「旨いぞ、菊地原。
如月さん、料理が上手いんだな。
良いお嫁さんになれるな」
「どーでもいいよ」
「でも結婚したら食べさせてもらえないかな、お弁当」

菊地原はなんだか不愉快になる。
思い出したのだ。如月の片想いの相手の事を。
あんなどーでもいいやつが、このお弁当を口にする。下らない話だ。
ボーダーで強い風間のような人なら話は別だ。

「おい、菊地原。これ」
「・・・・・・?」

お弁当に手紙が添えられていたようだ。
なんだろうか。菊地原は手に取り読んでみた。
はじめの内容は、A級挑戦券が来たこと。そりょそうだろうと菊地原は思う。
あれだけチームで勝ってきたのだからA級ぐらい上がれる、と。
もうひとつは菊地原からしたら不思議でならなかった。
なぜ、ぐるぐるバットが苦手なことがばれたのか。対処法だった。
菊地原は絶対歌川には見せないと、心に決めた。
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