ナルサス前提ナルヒナ






ツキリと胸が痛んだ。キシリキシリと悲鳴をあげるかのように締め上げられるような苦しさを覚えて息を吐き出す。

「サスケ…」

小さく呟くような静かな声で呼んだ。

今、俺の耳に聞こえるのは聞きたい彼の呻くような悲鳴じみた微かな喘ぎではなく、高く甘いおんなの喘ぎ。
今、俺が組み敷いている体は彼のように白いけれど彼のように薄く固い体ではなく柔らかく細い体。
彼と同じ黒なのに彼のように癖毛が跳ねているわけでもなく白い布の上で靡くように指をすり抜ける長く真っ直ぐな髪。

目だけは開けてくれるなと頼んだ相手は必死な様で眉間に皺がよるほどに硬く瞳を閉ざしている。
俺は最中の彼の瞳が一番好きなのだ。日頃から彼の意思を、感情を一番表すあの瞳だけはなにものにも汚されたくなかった。

忍界大戦によって忍びの人数が極端に減ってしまったこと。生き残った忍び達で子孫を残さねばならないというのに俺の恋仲である相手は子孫を残せる相手ではない。性器に問題はない。ただ、同性なだけで。
チャクラを使ってどちらが女の姿になったとしてもそれは外見的なもので中に子宮が出来るわけでもないので忍びの里を陰から支える国のお偉いさん達による多才なる忍びの血を途絶えさせてはならないという依頼のせいで恋仲ではない相手に子どもを産んでもらわなければならないのだ。
今こうしてる間にも、彼も違う女の相手をさせられている。そう思うと自分の知る知らないを抜きにして相手の女に嫉妬して気が狂うほどに腸が煮えくりかえりそうになるが自分の現状が彼を裏切る行為だと自覚があるのでなにも出来ないし、何も言えなくなる。
組み敷いている相手の女が好意を寄せてくれてることも、彼女が俺と彼が恋仲であることも知っているのも俺は知ってるから。

ふるふると震える体の中の最奥に自分の白く汚れたものを吐き出してひくつく体を抱き締めたのは自分の贖罪か、彼女へのせめてもの謝罪か泣きたくなる目元に涙など溢してはならないと目元に力をこめて唇を噛み締める。

「…ごめんっ」

彼か、彼女にか、噛み締めた唇から零れた言葉に閉ざした瞳の奥で彼の冷たく闇の黒と燃えるような鮮血の赤い瞳に滴が溜まっているのが見えたような気がした。















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テーマ「人外ファンタジー」
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