「好きです」
たった一言言うのに、握り締めた拳が震えた。
曇り空から覗く薄い空のような瞳に小さく俺の瞳の色が反射されてて綺麗だとか思ったのは一瞬で、目付きの悪い彼の呆れと驚きにが混ざりあった表情を見たら撤回なり、冗談や憧れとしてだと誤魔化した方が良かったのかも知れないけれど、
「…そうか」
ぽつりと麗しの彼が小さく呟いただけで怪訝や嫌悪の類いを見せないことに心臓をバクバクさせながらも少しだけ安心して
「好きです」
「…」
同じ言葉を繰り返した。
彼は何も言わなかったけれど、彼はより少しだけ高い位置にある俺の頭に手を置いて困った様に眉間に皺を寄せた。
「わかったから、…泣くな」
「泣きませんよ」
「…そうか」
俺としては笑ったつもりなのに彼が頭に置いた手を優しく動かすから俺は泣きそうになった。
泣きそうなのはあなただ
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