第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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──── 職場体験3日目。

市内をパトロールしていた私たちに、その知らせは突然入った。
エンデヴァーさんの隣を走っていたサイドキックの方が知らせを受け、声を張り上げた。



「緊急事態です!ヴィランが街中で暴れています。以前雄英高校に現れた、脳無と呼ばれるヴィランです!」

名前「!!」



脳無……!
あんな化け物が、街中に……!?

血の気が引くのを感じた。

そして次の瞬間、


──── ドォォォン!!!


大きな爆発音がして、名前は振り返って空を見上げた。
少し遠くの方で、黒煙があがっている。



エンデヴァー「焦凍ォ!!アネモネ!!事件だ、ついてこい!ヒーローというものを見せてやる!」

名前「はい、お願いします!」



そう言ってエンデヴァーさんの後を追い、走り出した時である。

ブルル、とウエストポーチに入れていたスマホが振動した。
同時に焦凍のも鳴ったようで、彼は躊躇なくスマホを取り出して見ている。



轟「……緑谷?」

名前「え?出久?」



何かを考え込んでいる焦凍の様子が気になり、私も足を止めてスマホを見た。

送信者は出久だ。
一斉送信で、地図の位置情報だけが送られてきている。

これは、一体……。
でも出久は意味も無くこんな事をする人ではない。



名前「これってまさか……SOS?」

轟「可能性はあるな。ここから近い、行くぞ」

名前「うん!」



踵を返してエンデヴァーさんとは反対方向に走り出す私と焦凍。

それに気付いたエンデヴァーさんが声を上げた。



エンデヴァー「どこに行くんだお前らァ!!」

轟「江向通り4-2-10の細道。そっちが済むか手の空いたプロがいたら応援頼む。お前ならすぐ解決出来んだろ」

エンデヴァー「……」

轟「友達がピンチかもしれねぇ」

名前「すみません、エンデヴァーさん!私も行ってきます!!すみません!!」



ペコペコと何度かエンデヴァーさんに頭を下げ、私は先に走り出していた焦凍を急いで追いかける。

……嫌な、予感がする。
頭の中で、危険信号が点滅していた。



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