第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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《no side 》


自分の部屋へと向かいながら、轟は考え込んでいた。

先程名前が言っていた、「なぜ自分が指名されたのかわからない」という話についてである。


轟は、名前に一目置いている。
強力な個性に慢心せず、レベルの高い武術を身につけている。
共に競い、励まし合える相手として認めているのだ。

だから名前に言われるまでは、彼女が指名を受けたことに違和感を覚えなかった。
彼女がエンデヴァーに認められたのだろうと思っていたのである。


しかし、言われてみれば確かに疑問が多い。
自分の望む個性を持たずに生まれてきた兄や姉には、ある意味無関心だったエンデヴァー。

そんな彼が求めるのは "強さ" である。

戦闘のセンスや才能ならば、名前よりも体育祭で1位だった爆豪の方がやはり上回っているだろう。
エンデヴァーがそれを見抜けないとは思わない。



轟「……アイツ、また訳分かんねえこと考えてんじゃねえだろうな」



思い起こされるのは、父と母の個性婚。

いや、まさかとは思うが……。

拭いきれぬ不安を抱えながら、轟は自分の部屋へと戻ったのだった。






──── 一方その頃、エンデヴァーは自室に篭もり、仕事をしていた。

しかしその脳裏を過ぎるのは、昨日からここへ職場体験に来ているあの少女。


あの少女の個性は、あの "風使い・シキ" の強力な個性がさらに多様化し、進化したチート個性。
特に風は炎を増強させる。

加えて彼女の個性は未だ未知の部分が多く、他にも炎と相性のいい技があるかもしれない。

炎と風、その他の自然現象の融合……。



エンデヴァー『……しかし、まだまだ未熟。融合するならば、より強力に鍛え上げる必要がある……』



轟が危惧した通り、エンデヴァーは密かな野望を抱いていたのである。

これが明るみに出ることはあるのか、否か……。


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