第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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──── いよいよ職場体験の日がやってきた。

心做しか、みんな少し浮き足立っているように見れる。
そりゃそうだ、憧れのヒーローを誰よりも近くで見ることができるのだから。



相澤「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

芦戸「はーい!」

相澤「伸ばすな「はい」だ、芦戸。くれぐれも失礼のないように。じゃあ行け」

全員「「「はい!!」」」



ここからはそれぞれで行動だ。

轟の姿を探して視線を走らせれば、目の前をさっさと横切る人。
委員長だ。


……先日、委員長の兄であるインゲニウムがヒーロー殺しに襲われて重症を負ったというニュースを見た。

恐らく体育祭での早退もこれに関係していたのだろう。
あの日から、委員長は思い詰めた表情をするようになった。

そして今の彼の背中。
なんだか並々ならぬ覚悟が感じられ、そしてそれは何故か私の不安を煽った。

すると、ポンと後ろから肩を叩かれる。



轟「……お前も気になんのか?最近の飯田」

名前「……うん、ちょっとね」




轟も私と同じく、委員長の背中を見ていた。

きっと彼も、委員長の事情を知っているのだろう。



名前「……私さ、追い詰められた人間の視野の狭さならよくわかるんだ。体育祭で痛感したから……」

轟「……俺も、恨みつらみで動く人間の顔ならよく知ってる」



私と同じく、轟も何となく感じ取っているのだろう。

今の委員長の背中の危うさを……。



名前「……とりあえず行こうか、遅れちゃうし」

轟「ああ、そうだな」




何も起こらないといいのだが……。

胸のつっかえを感じながらも、私は轟と共にその場を後にしたのだった。

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