第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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ミッドナイト「ヒーロー名、思ったよりずっとスムーズに進んでるじゃない!残ってるのは再考の爆豪君と、飯田君、緑谷君に風花さんね」



突然名前を呼ばれ、私はビクッと体を震わせた。

しまった、皆のヒーロー名に夢中になりすぎて自分の発表を忘れていた!

私は慌てて挙手をした。



ミッドナイト「あら、風花さん!できたの?」

名前「はい!」



ボードを持って立ち上がれば、後ろの出久に「名前ちゃん!」と小声で声をかけられる。



名前「ん、何?」

緑谷「し、シンプルにね!シンプルに!」

名前「う、うん?」



「シンプルに」を強調して何度も言う出久は、なんだか焦ったような表情をしている。

なんだ……?

首を傾げながらも、私は教壇へと向かった。




……一方出久付近の席にて。



瀬呂「緑谷、どうしたんだよ?」

緑谷「いや、ちょっと……名前ちゃんのネーミングセンスは、昔からなかなかヤバくて……」

上鳴「へえ、例えばどんなの?」

緑谷「昔、怪我をしたスズメを拾って育てたらしいんだけど、そのスズメには "チュンチュンカイザー" って名前付けてた……」

瀬呂「え」

切島「そういや俺も、風花にレッドツンツンガッツってあだ名付けられたわ」

上鳴「え」

緑谷「小さい頃に持ってた白いウサギのぬいぐるみには "レノアハピネス" って名前付けてたし……」

瀬呂「いや柔軟剤」

耳郎「白いから……?」



……そんな会話でドン引きされていた事など、露知らず。

私は教壇に立つと、色紙をドンッと教卓に置いた。



名前「私のヒーロー名は……これです!!」



"Anemone アネモネ"



全員『『『めっちゃ普通だった!!全然ふざけなかった!!』』』

緑谷「ε-(´∀`;)ホッ……」



私の考えたヒーロー名はアネモネだ。

アネモネとは私のお守りであるペンダントにも付いている花である。



ミッドナイト「あら、花の名前ね!素敵じゃない!」

名前「えっ、本当ですか!?実は " デミグラス・フウカ " と "そ〇ジロー" と "ポジティブ光ファイバー・風花" も候補だったんですけど」

全員『『『やばかった!!アネモネ以外全部やばかった!!!』』』

ミッドナイト「そうね、アネモネがいいわね」



あれ、おかしいな。

ミッドナイトがめちゃくちゃドン引きした顔してるんだけど、なんで?



名前「……って、皆なにその微妙な顔は!普通だなーって顔に書いてるよ!」

上鳴「いや、ポジティブ光ファイバー・風花よりは全然マシだけどさ……」

名前「えー、じゃあ何だったらいいのさ」

切島「あ、じゃあ "どケチヒーロー シュセンダー" とかどうだ!?守銭奴を文字ってよ!」

上鳴「ブフォwwwwww」

全員『『『切島上鳴ーーーーーーっっっ!!!』』』』

名前「絶対嫌だわそんなの!!切島とついでに上鳴、あんたら後でお尻ペンペンの刑だからね!!」

全員『『『お尻ペンペン!!?チョイスそこなの!!?』』』



全く、私のことをなんだと思ってるんだ!
守銭奴って……まあ、あながち間違ってはいないけれども。

すると、ミッドナイトに声をかけられる。



ミッドナイト「ところで、どうしてアネモネ?アネモネが好きな花なのかしら?」



おお、よくぞ聞いてくれたミッドナイト!!

私は得意になって経緯を説明する。



名前「実はアネモネって、別名をWindflowerっていうんです。訳すと "風の花"。風花っていう私の苗字にぴったりだと思うんです」

ミッドナイト「なるほど!そういう経緯があったのね、面白いわ!」

名前「因みに白いアネモネの花言葉は『期待』や『希望』、紫のアネモネの花言葉は『あなたを信じて待つ』なんです。アネモネが来たからもう大丈夫だって、みんなに言ってもらえるようなヒーローになります!」

ミッドナイト「うん、素晴らしい!!」



なんだか軽い演説のようになってしまった。

しかし、わっと歓声が上がり、パチパチと拍手が巻き起こった。
どうやら好評らしい、切島や響香がGJサインを送ってくれた。


そして私に続いて委員長は「天哉」、出久は「デク」をヒーロー名を発表した。
みんなそれぞれの個性が出ててすごくいいと思う!!



爆豪「爆殺卿ーーーっ!!!」

ミッドナイト「違う、そうじゃない」



……一人だけ、ヒーロー名が決まらなかった人がいたけれど。

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