第二章 体育祭〜職場体験 | ナノ


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──── そして、数十分後。



ミッドナイト「じゃあできた人から発表してね」



その言葉に、私はぎょっとして顔を上げる。

まさかの発表形式!!?
さすがに1番手はちょっと……。

皆が尻込みする中、堂々と教壇に立ったのは青山である。



青山「 "輝きヒーロー I can not stop twinkling. " 訳して、キラキラが止められないよ!」

全員「「「短文!!?」」」

ミッドナイト「ここはIを取って、can'tに省略した方が読みやすい!」

青山「それね、マドモアゼル!」

全員「「「 いいのかよ!!?」」」

砂糖「つか、英語かフランス語かどっちかにせい……!」



ヒーロー名にしては長すぎないか!?
略してtwinklingとか呼ばれるようになりそうだ。

というかミッドナイトの審査、結構ガバガバなのか……?

全員がドン引きする中、次に教壇に立ったのは三奈である。



芦戸「じゃあ次あたしね!ヒーロー名、エイリアンクイーン!」

ミッドナイト「2!!血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときな!!」

芦戸「ちぇ〜……」



即座に却下された三奈は口を尖らせながら席に戻った。

……というか、最初に変な2つが来たせいで大喜利っぽい空気になってる気がするんだけど。
さっきよりも発表しづらくなってるんだけど!!?

全員が周囲の様子を窺う中、手を挙げたのは梅雨ちゃんだ。

梅雨ちゃん、信じてるよ……!
どうかまともなヒーロー名を!!



蛙水「小学生の頃から決めてたの。"梅雨入りヒーロー FROPPY"!」

ミッドナイト「可愛い!親しみやすくていいわ!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」



ナイスだ梅雨ちゃん、大喜利の空気を断ち切ってくれてありがとう!!

全員から「フロッピー!フロッピー!」というコールが湧き上がり、梅雨ちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせていた。

そして次は切島である。



切島「じゃあ俺も!"剛健ヒーロー 烈怒頼雄斗"!」

ミッドナイト「赤の狂騒!これはあれね、漢気ヒーロー 紅頼雄斗のリスペクトね!」

切島「そッス!だいぶ古いけど俺の目指すヒーロー像は紅そのものなんス!」



なるほど、切島は紅頼雄斗ファンだったのか。

確かに彼の性格は紅のように男らしい。
きっとそれも紅由来なのかな。



ミッドナイト「憧れの名を背負うってからには、相応の重圧がついて回るわよ」

切島「覚悟の上っす!」



そう言って拳を握りしめる切島。
やっぱり切島、かっこいいわ!

その後も順調にお披露目会は進んでいく。



耳郎「ヒアヒーロー イヤホン=ジャック!」

障子「触手ヒーロー テンタコル」

瀬呂「テーピンヒーロー セロファン」

尾白「武闘ヒーロー テイルマン」

砂糖「甘味ヒーロー シュガーマン」

芦戸「ピンキー!!」

上鳴「スタンガンヒーロー チャージズマ」

葉隠「ステルスヒーロー インビジブルガール」

八百万「万物ヒーロー クリエティ」

轟「ショート」

常闇「漆黒ヒーロー ツクヨミ」

峰田「モギタテヒーロー GRAPE JUICE」

口田「触れ合いヒーロー アニマ」



おおお、みんな順調!めちゃくちゃいいヒーロー名ばっかり!
こういうの、他の人の見るのはめちゃくちゃ楽しいよね!

そんな事を考えていると、次に席を立ったのは勝己だ。
おお、勝己はどんなヒーロー名なんだろうな。



爆豪「爆殺王」

ミッドナイト「そういうのはやめたほうがいいわね」

爆豪「何でだよ!!」



いや爆殺王て。
敵?敵なの?

割とガバガバ審査だったのに引っかかってしまった勝己のヒーロー名。



切島「爆発さん太郎にしろよー!」

爆豪「黙ってろクソ髪!!」



ば、爆発さん太郎……!
切島のワードセンスに私は思い切り吹き出した。

ギャーギャーと吠えている勝己を他所に、発表は続いていく。



麗日「じゃあ私も……。考えてありました。"ウラビティ"」

ミッドナイト「洒落てる!」



ウラビティ……!何それめっちゃ可愛い!!

ミッドナイト先生にも好評で、お茶子はホッとしたように息を吐いていた。

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